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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻9号

2008年09月発行

文献概要

視座

運動器不安定症とロコモーティブシンドローム

著者: 星野雄一1

所属機関: 1自治医科大学整形外科学

ページ範囲:P.853 - P.853

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 運動器不安定症という,日本語として随分こなれていない病名が当局に認められて2年が過ぎる.今春,日本整形外科学会理事会でMADS(Musculoskeletal Ambulation Disorder Symptom Complex)という英訳が決定されたことは,記憶に新しい.気が触れたような略(MADS)が気にはなるが,英訳で明瞭となったように,運動器不安定症は歩行・移動機能障害を主に指す概念であり,この点で2007年9月に中村耕三日本整形外科学会理事長が公表したロコモ(locomotive syndrome:運動器機能不全)に含まれる概念と理解できる.ちなみにロコモは,運動器機能障害により要介護になるリスクの高い状態,と提案されている.

 運動器不安定症は,変形性関節症,脊椎・脊髄疾患,骨粗鬆症,関節リウマチ,骨折などの整形外科的疾患とともに,臥床による運動器廃用・高頻度転倒者を対象としている点に特徴がある.以前は,臥床による運動器廃用および高頻度転倒は病名ではないために,診療報酬上は治療の対象とできなかったが,運動器不安定症という新概念の設置により,治療できるようになった.これは,寝たきりにならないための予防医学的考え方の導入であり,画期的なものと言えよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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