臨床整形外科43巻9号

2008年09月発行

症例報告

733個の遊離体を認めた肩関節滑膜骨軟骨腫症の1例

著者： 小畑哲哉¹ 亀山康弘¹ 大月健朗¹ 石井博之¹ 森尾泰夫¹ 山下英樹²

所属機関： ¹鳥取県中部医師会立三朝温泉病院整形外科 ²鳥取大学医学部整形外科

ページ範囲：P.921 - P.923

　733個の遊離体を伴った滑膜骨軟骨腫症の1例を報告する．症例は20歳の男性で，症状は右肩甲部の重圧感のみで，自覚症状に乏しかった．健康診断時の胸部X線像で右肩甲部に多数の粒状石灰化陰影が発見された．CTでも右肩関節内，肩甲下滑液包内，上腕二頭筋長頭腱滑液包内に多数の粒状石灰化像を認め，滑膜骨軟骨腫症と診断し，遊離体摘出術を施行した．計733個，134gを摘出し，上腕二頭筋長頭腱滑液包からは滑膜と癒着した微小軟骨集積塊を切除した．組織学的には滑膜内に軟骨形成像を認めた．

参考文献

1）Milgram WJ：Synovial osteochondromatosis. J Bone Joint Surg Am 59：792-801, 1977

2）Mussey RD, Osteochondromatosis. J Bone Joint Surg Am 31：619-627, 1949

3）小川　健，田中利和，三島　初・他：肩峰下滑液包内に発生した滑膜性骨軟骨腫症の1例．整・災外 47：799-803，2004

4）Saotome K, Tamai K, Koguchi Y, et al：Growth potential of loose bodies：An immunohistochemical examination of primary and secondary synovial osteochondoromatosis. J Orthop Res 17：73-79, 1999