icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻9号

2008年09月発行

文献概要

症例報告

難治脊椎感染症に対する大網移植

著者: 白石龍哉12 川原範夫1 村上英樹1 出村諭1 岡山忠樹1 加藤仁志1 吉岡克人1 川口真史1 富田勝郎1

所属機関: 1金沢大学医学部整形外科 2金沢聖霊総合病院整形外科

ページ範囲:P.929 - P.933

文献購入ページに移動
 難治脊椎感染症3例に対して,病巣掻爬,骨移植に加えて大網移植を行い,治癒を得た.有茎大網を用いることで,死腔が充塡されるだけでなく,周囲組織からの豊富な血流を得ることができる.その結果,浸出液の吸収,浮腫の改善,感染への抵抗性の増強などの効果が得られる.さらに骨の血行再建により,早期のリモデリングも期待される.有茎大網移植は,難治脊椎感染症の治療法として有効な手段である.

参考文献

1)Arai Y, Kuwahara H, Takagi T, et al:Pedicled greater omentum transfer to the thoracolumbar spine in a case of pyogenic spondylitis due to MRSA. a case report. Eur J Orthop Surg Traumatol 11:247-249, 2001
2)Azuma H, Kondo T, Mikami M, et al:Treatment of chronic osteomyelitis by transplantation of autogenous omentum with microvascular anastomosis. A preliminary report. Acta Orthop Scand 47:271-275, 1976
3)Das SK:The size of the human omentum and methods of lengthening it for transplantation. Br J Plast Surg 29:170-174, 1976.
4)古川一人,金広啓一,末田泰二郎:術後感染症に対する大網充塡法.広島医学 47:301-306, 1994
5)原田 敦,上田秀樹,見松健太郎:大網移植を試みた脊椎カリエスの1例.東海脊椎外科 7:46-47, 1993
6)Heller JG, Kim HS, Carlson GW:Subarachnoid-pleural fistulae-management with a transdiaphragmatic pedicled greater omental flap. Report of two cases. Spine 26:1809-1813, 2001
7)井上喜久男,甲山 篤,酒井義人・他:大網移植にて治癒できた腰椎MRSA脊椎炎の1症例.東海脊椎外科 16:37-41, 2002
8)Louw JA:Spinal tuberculosis with neurological deficit. Treatment with anterior vascularised rib grafts, posterior osteotomies and fusion. J Bone Joint Surg Br 72:686-693, 1990
9)浦崎哲哉,錦見純三,伊藤茂彦・他:第2腰椎脱臼骨折後に生じた偽関節と背部褥瘡の治療経験.有茎大綱移植と脊椎創外固定の併用.東海脊椎外科 14:78-80, 2000
10)和田野安良,向井直樹,中川 司・他:有茎大網移植によって治癒したMRSAによる胸腰椎移行部化膿性脊椎炎の一例.日本骨・関節感染症研究会記録誌 5:63-65, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら