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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科44巻11号

2009年11月発行

雑誌目次

視座

インターネットと日本整形外科学会診療ガイドラインについて

著者: 徳橋泰明

ページ範囲:P.1085 - P.1086

 インターネットの普及が各世界に及ぼした影響は大きい.インターネットの検索エンジンにより,何でも調べることができるようになった.私も論文執筆の際に,しばしばGoogleで用語を調べ,PubMedで各論文を確認しながら執筆する.図書館の書庫の古本の臭いをかぐことも少なくなり,全く便利なものだとつくづく思う.物の値段もすぐに知ることができ,特定個人の研究業績もたちどころにわかる.医学用語でも,GoogleでもYahooでもかなり専門的なTLIF(transforaminal lumbar interbody fusion)はもちろん,Sauvé-Kapandji手術やTokuhashi Scoreも出てくる.その情報量は想像を絶するものになった.

 以前は,情報収集法として最新の年度別論文抄録検索用のCDやDVDを,米国学会に行った際に購入してくるのが大事な仕事であった.現在は情報収集のほとんどが机の上のコンピュータの中だけですんでしまう.しかし,この情報はすべて正しいのであろうか? もちろん「No」である.以前「Spine」誌に,腰椎椎間板ヘルニアに関する5単語をGoogleやYahooなど5検索エンジンで検索される上位25ウエブの質を評価した論文が掲載された(Greene DL, et al. Spine 30:826-9, 2005).その結果,約90%は質が不良で,良質で有用な情報は約10%であったとした.さらに不良な情報の大半は医療施設や企業の広告であったと報告した.また,検索した際に上位に顔を出すように企業に金を支払って検索数の操作依頼をしている話も聞く.正しい情報管理の重要性と難しさを痛感する.

論述

腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡下椎間板摘出術は椎間関節にとって低侵襲であるか?

著者: 渡辺慶 ,   山崎昭義 ,   佐野敦樹 ,   勝見敬一

ページ範囲:P.1087 - P.1092

 腰椎椎間板ヘルニア(LDH)に対する内視鏡下椎間板摘出術(MED)の椎間関節切除量を調査し,従来法(Love変法)と比較を行った.対象は同一施設,同一術者により施行された113例(MED群66例,Love群47例)であり,臨床成績は2群間で差がなかった.椎間関節温存率はMED群46.9%,Love群44.9%と差はなかったが,切除角度はMED群-10.1°,Love群0.9°で(p<0.0001),MED群は内向きに切除された.MED群の椎間関節切除量は椎間関節面の傾斜角,ヘルニア高位,working spaceと相関関係を認めた.MED法は従来法に比べ椎間関節への侵襲は小さくなく,患者の骨形状によっては臨機応変に術式を選択すべきである.

手術に至った骨粗鬆症性椎体偽関節の初期治療

著者: 鈴木智人 ,   武井寛 ,   尾鷲和也 ,   内海秀明 ,   林雅弘 ,   後藤文昭 ,   橋本淳一 ,   杉田誠 ,   伊藤友一 ,   千葉克司 ,   長谷川浩士

ページ範囲:P.1093 - P.1096

 骨粗鬆症性椎体偽関節に対して手術を行った45症例を対象に,圧迫骨折の初期治療と手術侵襲を含めた成績を検討した.約半数で初期治療に外固定が行われていなかった.受傷形態は非外傷が約半数を占めていた.手術侵襲は大きく,また合併症の発生率も高かった.偽関節の発生を低減させる適切な初期治療の確立が急務である.

手術手技/私のくふう

橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定―Kirschner鋼線刺入ガイドを用いた遠位骨片格子状固定の試み

著者: 高井盛光 ,   長田伝重 ,   本田俊夫 ,   亀田正裕 ,   大江真人 ,   玉井和哉 ,   野原裕

ページ範囲:P.1097 - P.1103

 DRV Locking Plateを用いたAO C3型橈骨遠位端骨折の一部にみられる術後橈骨短縮を防止するには,軟骨下骨部を格子状に固定することが有効であると考え,Kirschner鋼線(K-W)刺入ガイドを考案した.本手技を用いて手術を行った2例を経験したので報告する.2症例ともK-W2本とロッキングピンで格子状固定を行った.術後12カ月の最終観察時では2症例とも骨折部の整復位は保たれており,Cooney評価は優であった.本ガイドは容易かつ正確にしかも短時間でK-Wを刺入でき,有用なデバイスであると思われる.

腰椎椎間孔内狭窄に対する内視鏡下椎間孔拡大術

著者: 岩﨑博 ,   吉田宗人 ,   山田宏 ,   延與良夫 ,   南出晃人 ,   中川幸洋

ページ範囲:P.1107 - P.1114

 腰椎椎間孔内狭窄に対する新しい手術方法の開発を目的とし,内視鏡による椎間孔拡大術を試みてきた.手術方法は,内視鏡下に外側部を開窓し第5腰神経を確認後,椎間孔内のS1上関節突起,椎体骨棘,椎間板を切除することを原則とし,必要に応じて椎弓根の部分切除を追加することで狭小化した椎間孔を拡大し神経除圧を行った.12例全例とも根性坐骨神経痛による間欠跛行は術後に消失し,患者の満足度は高かった.今回の結果から,脊椎内視鏡を用いた椎間孔拡大術は椎間孔内狭窄に対する新しい手術方法として推奨し得る.

連載 手術部位感染の基本・8

創傷治癒

著者: 大北喜基 ,   毛利靖彦 ,   小林美奈子 ,   楠正人

ページ範囲:P.1116 - P.1118

はじめに

 1999年にCDC(米疾病予防管理センター)の「手術部位感染防止ガイドライン」3)が発表されて以来,本邦においてもこれまでの慣例に従った創管理がエビデンスに基づいた管理へと変化している.

 従来わが国では,「創感染予防には消毒が必要」という考えが一般的で,術後であっても手術創は手術翌日から抜糸まで毎日消毒し,ガーゼ交換することが常識とされてきた.しかし,正常創は縫合閉鎖48時間後には皮膚の上皮化が完成するため,創閉鎖から48時間が経過すると創の消毒やドレッシング材は不要となる.

 また,感染などで開放された創の場合にも,創面の消毒が行われた後,ガーゼを貼付するといった創傷管理が習慣的に行われてきた.しかし,近年では創面を洗浄し,創傷被覆材などで創を閉鎖して湿潤環境を保つことにより治癒を促進させるmoist wound healing11)という考え方が主流となってきている.

 今回,創傷および創傷治癒の分類について述べ,手術切開部位における創管理と感染発生後の急性創傷に対する管理のあり方を中心に述べる.

臨床経験

新しい胸椎再建手術:経椎間孔進入胸椎椎体間固定術Transforaminal Thoracic Interbody Fusion(TTIF)

著者: 町野正明 ,   湯川泰紹 ,   伊藤圭吾 ,   中島宏彰 ,   加藤文彦

ページ範囲:P.1119 - P.1124

 経椎間孔進入椎体間固定術は,後方から片側の椎間関節を切除しforaminal zoneからアプローチするため,硬膜管外縁と神経根を直視下に確認でき,除圧に対する有効性は高い.硬膜の牽引を必要としないため神経合併症が少ない.また後方のみでの椎間板操作と椎体間骨移植により前方支柱再建が可能である.今回われわれは,腰椎でのtransforaminal interbody lumbar fusion(TLIF)を応用し,胸椎病変に対しtransforaminal thoracic interbody fusion(TTIF)を施行し,良好な治療成績を得た.今回の検討から本術式は,後方除圧固定と片側性の前方除圧,そして椎体間固定による強固な再建が可能であり,また術後早期離床も可能で骨癒合も良好であった.今後胸椎の除圧再建術の有用な選択肢となりうると考える.

頚髄症に対する内視鏡下後方除圧術の臨床成績

著者: 南出晃人 ,   吉田宗人 ,   山田宏 ,   中川幸洋 ,   河合将紀 ,   岩﨑博

ページ範囲:P.1125 - P.1131

 頚髄症に対する内視鏡下後方徐圧術(microendoscopic laminoplasty:MEL)の手術成績について報告する.対象は,頚髄症に対してMELを施行し,術後6カ月以上経過した51例で,頚椎症性44例,椎間板ヘルニア3例,黄色靱帯石灰化症4例であった.JOAスコアの改善率は平均52.5%であり,調査時のJOACMEQ,SF-36は,それぞれすべての項目で改善していた.周術期合併症は,硬膜損傷,術後硬膜外血腫をそれぞれ1例,術後C5麻痺を2例に認めた.頚髄症に対するMELの臨床成績は良好であり,周術期合併症に配慮すれば,MELは今後選択される手術方法の一つである.

症例報告

診断に長期を要した上腕骨遠位部類骨骨腫の1例

著者: 堀内陽介 ,   池上博泰 ,   中道憲明 ,   中村俊康 ,   佐藤和毅 ,   戸山芳昭

ページ範囲:P.1133 - P.1137

 症例は16歳の男性で,14歳時から右肘関節痛を自覚した.テニス肘と診断され,MRI検査などを受けたが2年6カ月間もの長期にわたり確定診断に至らず,当院を紹介され受診となった.CTで上腕骨滑車部分にnidusを認め,上腕骨遠位部類骨骨腫の診断で腫瘍摘出術を行った.病理診断は類骨骨腫であり,疼痛は消失し,術後2年の現在,再発は認めていない.長期に及ぶ関節痛を訴える患者ではMRIがCTよりも先に撮影されることが多い.しかし類骨骨腫を念頭に置かなければMRIを撮影していても本症例のように見逃される可能性がある.

腫瘍切除後血管柄付き腓骨移植で再建した小児上腕骨軟骨肉腫の1例

著者: 都島幹人 ,   山田芳久 ,   小澤英史 ,   大田剛広 ,   中島浩敦

ページ範囲:P.1139 - P.1143

 小児上腕骨軟骨肉腫に対し,広範切除後に血管柄付き腓骨移植(以下VFG)で再建し,長期に良好な成績を得ている症例を経験した.症例は6歳の女児で,単純X線像で左上腕骨近位に骨腫瘍を指摘され紹介された.生検で内軟骨腫の診断を得て慎重に経過観察をしていたが,徐々に腫瘍の増大,軟部への伸展がみられ軟骨肉腫と考え,広範切除を行い,欠損部をVFGで再建した.術後半年で骨癒合が得られ,徐々に移植骨の肥大もみられた.現在,術後7年で無病で生存し,ISOLS(国際患肢温存学会)の患肢機能評価は自己満足度を除き25点中25点で,日常生活に支障はない.

Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema症候群の1例

著者: 星野孝

ページ範囲:P.1145 - P.1148

 84歳,女性のremitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edemaの1例を報告する.初診時には急速に発来した両手の浮腫があったが,1カ月後には両足の浮腫が出現した.血清反応はRAPAも抗CCP抗体ともに陰性であった.炎症所見と浮腫は漸次消褪し,予測した通り完全に消失した.この症例の特徴的な点は両手・両足の浮腫が同期出現でなかったことである.

頚髄に発生したHemangiopericytomaの2例

著者: 烏山和之 ,   松本嘉寛 ,   播广谷勝三 ,   土井俊郎 ,   遠藤誠 ,   小田義直 ,   恒吉正澄 ,   岩本幸英

ページ範囲:P.1149 - P.1154

 頚髄に発生した非常に稀なhemangiopericytomaの2例を経験したため,文献的考察を加え報告する.2症例とも手術・放射線照射を行った.症例1はほぼ腫瘍を全摘出でき,術後再発を認めていない.症例2は出血コントロール不良なため全摘出は不能で,組織学的にも悪性であり早期に再発・転移を来し死亡した.Hemangiopericytomaは多岐にわたる悪性度を持ち,一般的には手術,放射線治療が行われている.今後は予後の改善のため,化学療法を含めた補助療法についても検討すべきと考えられた.

著明な下肢変形を伴う片肢性骨端異形成症の長期治療経過例

著者: 西山正紀 ,   中野祥子 ,   山田総平 ,   西村淑子 ,   浦和真佐夫 ,   二井英二

ページ範囲:P.1155 - P.1159

 われわれは,severe formの片肢性骨端異形成症の男児を4カ月時から15歳現在まで治療中である.幼少時から左下肢の著明な外反膝変形,過成長,また内反尖足変形を認め,多数回手術を行っている.関節外操作による変形矯正を行った膝関節は骨端部がリモデリングされ,関節内操作を行った足関節は強直した.本症の手術適応,術式選択については,病勢を考慮して慎重に決定しなければならない.変形矯正には関節内切除手術を避け,関節外操作を行うことが得策と考える.

関節鏡視下後方Trans-Septalアプローチで切除した後十字靱帯ガングリオンの1例

著者: 大石強 ,   市川哲也 ,   宮城道人 ,   長野昭

ページ範囲:P.1161 - P.1164

 脛骨側に発生した後十字靱帯(PCL)ガングリオンは前方鏡視では処置が困難である.今回,PCLガングリオン症例に対して後方trans-septalポータルを作成し,後内側と後外側の後方2ポータルにより腫瘤の確認と処置ができた1例を経験した.症例は48歳の男性で,主訴は膝窩部痛である.MRI所見ではPCL後方にT1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度の囊包性の腫瘤があった.関節鏡視下手術でtrans-septalポータルによる後方鏡視でPCL後方の滑膜が黄色粘調性の内容物により膨隆しており,腫瘍壁を切除した.病理所見はガングリオンであった.術後のMR画像でガングリオンは消失した.

肩甲上腕関節,肩峰下滑液包同時鏡視により腱板修復術を施行した関節面不全断裂の1例

著者: 福田昇司 ,   阿部光伸

ページ範囲:P.1165 - P.1168

 関節面不全断裂の1例に対して肩甲上腕関節および肩峰下滑液包を同時に鏡視しながら腱板修復する方法を試みた.まず肩甲上腕関節鏡視により断裂部とフットプリントのデブリドマンを施行し,ついで滑液包鏡視により肩峰下除圧を行った.この段階で同時鏡視とし,経腱板的にアンカーを用いて修復した.術後1年で疼痛は消失し,JOAスコアは術前の68点から98点へ改善した.経腱板的スーチャーアンカー刺入法では関節鏡視下にブラインドで操作が必要であるが,滑液包鏡視を同時に行うことにより容易に操作を行うことができた.

Sprengel変形に対する肩甲骨下降術の1例

著者: 齋藤健一 ,   大沢敏久 ,   小林勉 ,   山本敦史 ,   久保井卓郎 ,   設楽仁 ,   篠崎哲也 ,   高岸憲二

ページ範囲:P.1169 - P.1173

 Sprengel変形に対しGreen変法を施行した1例を経験したので報告する.症例は生後8カ月の男児で,左肩甲骨高位を指摘され当科へ紹介となった.単純X線写真でも左肩甲骨の上方偏位を認めた.われわれはSprengel変形の手術の適応年齢とされる3歳まで経過観察し手術を行った.術前の左肩関節外転角度は90°,肩甲骨上角高位の左右差は5椎体であったのに対し,術後は肩甲骨上角高位の左右差は3椎体と改善した.術後3年8カ月の現在では外転角度は150°と改善し,過去の報告と比較してもほぼ同等の成績が得られた.

腫瘍性骨軟化症を来した軟部巨細胞腫の1例

著者: 畠山雄二 ,   千馬誠悦 ,   成田裕一郎 ,   宮本誠也 ,   小林志 ,   白幡毅士 ,   齋藤由里 ,   小野巌 ,   東海林琢男

ページ範囲:P.1175 - P.1180

 症例は56歳の男性で,両側胸部痛,両膝痛,腰背部痛を訴え受診した.初診時,血清リン(以下P)値が著明に低下し,腰椎MRIで多椎体に骨折像を呈し,骨シンチグラフィでは肋骨に多発性に集積像を示していたため,低P血症性骨軟化として経口P酸製剤を投与した.徐々に低P血症は改善したが,尿細管P再吸収能は低下し,線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)は高値を示していた.精査の結果,下腹部皮下腫瘍を認めたため,腫瘍を摘出した.腫瘍摘出後,血清P値,尿細管P再吸収能は改善した.軟部巨細胞腫により過剰に分泌されたFGF-23が骨軟化症の誘発因子と考えられた.

書評

運動器の痛み プライマリケア 腰背部の痛み―菊地臣一(編集) フリーアクセス

著者: 岩﨑幹季

ページ範囲:P.1114 - P.1114

 われわれ整形外科医は日々の診療において痛みを主訴とする患者を診察し,手術適応になる疾患や陽性の画像所見を見出そうと努力する.しかし,主訴として非常に多い「腰背部の痛み」に関しては,むしろ陽性所見を見出すことができずに変性所見をあえて陽性所見として患者に説明してしまうことが多いのではないだろうか.そして,陽性所見がまったくない,あるいはあっても軽度な所見のため,変性疾患という診断のもとに「年のせい」にされて納得できない疼痛患者は「cure」を求めて行き場(治療してくれる場所)を探すことになってしまう.患者が病院あるいは診療所での診断と治療に不満を抱いて代替医療に救いを求めるだけでなく,同じ病院内でも適切な診療科にめぐりあうことができず苦慮している患者が現実として多いのは残念なことである.整形外科,神経内科,精神科,麻酔科(ペインクリニック)など各診療科で治療方針や目的がばらばらに対応してしまえば,患者は疎外感を感じ治療効果を実感できないことになる.

 痛みには心理・社会的因子が深く関与しているため,著者らは「腰背部の痛み」を「local pain」としてではなく,「生物・心理・社会的疼痛症候群」という「total pain」として多面的に捉えて診療にあたることの重要性を強調している.そして,痛みを「cure」だけでなく「care」することに努力し,痛みによる機能障害を最小にするような専門的支援を行うよう勧めている.そのためには,他の診療科の治療内容を理解し患者の疼痛緩和と機能障害の克服という治療目標を共有しながら連携し,うまく機能した集学的アプローチで対応することで,患者に安心感が生まれ前向きになることがよい治療結果につながると著者らは指摘している.特に,多くの整形外科医が知りたい東洋医学的アプローチや精神医学的アプローチなど,疼痛に対する集学的アプローチの理論や実践に関して各専門家が詳細に記載している点は,痛みを主訴とする患者を診療し治療するうえで非常に参考になり一読に値する.

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あとがき フリーアクセス

著者: 清水克時

ページ範囲:P.1188 - P.1188

 2009年8月30日に行われた第45回衆議院議員総選挙から1カ月半が経過しました.民主党が過半数を大きく上回る議席を獲得し,自民党は1955年(昭和30年)の結党以来,初めて衆議院第一党を失い,歴史的な政権交代が実現しました.今は政権交代にともなう概算要求の見直し作業が行われているところです.各省庁の予算が当初のものを下回るだろうという見込みのなか,厚生労働省関連の予算は当初予算を上回る可能性が高いと予想されています.このことが診療報酬に反映されるのかどうかは結果をみないとなんとも言えませんが,小泉政権以来の社会保障費抑制政策が切り替えられようとしていることは間違いないようです.

 今月号の「視座」は,日本大学・徳橋泰明教授の「インターネットと日本整形外科学会診療ガイドラインについて」です.インターネットは現代社会の最も重要なキーワードです.診療ガイドラインが価値を持つようになったのも,インターネットのおかげです.ピア・レビューや研究者の利益相反が重要になってきたこともインターネットと関係があるように思います.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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