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運動器の痛み プライマリケア 腰背部の痛み―菊地臣一(編集) フリーアクセス
著者: 岩﨑幹季1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
ページ範囲:P.1114 - P.1114
文献購入ページに移動痛みには心理・社会的因子が深く関与しているため,著者らは「腰背部の痛み」を「local pain」としてではなく,「生物・心理・社会的疼痛症候群」という「total pain」として多面的に捉えて診療にあたることの重要性を強調している.そして,痛みを「cure」だけでなく「care」することに努力し,痛みによる機能障害を最小にするような専門的支援を行うよう勧めている.そのためには,他の診療科の治療内容を理解し患者の疼痛緩和と機能障害の克服という治療目標を共有しながら連携し,うまく機能した集学的アプローチで対応することで,患者に安心感が生まれ前向きになることがよい治療結果につながると著者らは指摘している.特に,多くの整形外科医が知りたい東洋医学的アプローチや精神医学的アプローチなど,疼痛に対する集学的アプローチの理論や実践に関して各専門家が詳細に記載している点は,痛みを主訴とする患者を診療し治療するうえで非常に参考になり一読に値する.
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