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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科44巻2号

2009年02月発行

文献概要

整形外科基礎

頭蓋・頚椎移行部の解剖学的研究―頭蓋・頚椎移行部後方進入における椎骨動脈損傷の予防

著者: 茂呂貴知1 菊地臣一2 紺野慎一2

所属機関: 1白河厚生総合病院整形外科 2福島県立医科大学医学部整形外科学講座

ページ範囲:P.173 - P.176

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 頭蓋・頚椎移行部での後方アプローチに際しての椎骨動脈損傷を予防する観点から,解剖実習用遺体を使用して,椎骨動脈の局在を検討した.同時に,第1頚神経と第2頚神経との関係について検討した.全例で,第2頚神経が環椎椎弓下縁から背側に現れる位置は,椎骨動脈が後頭環椎間膜へ侵入する位置よりも内側に位置していた.椎骨動脈が後頭環椎間膜へ進入する位置と正中との距離の最小値は19mmであった.この事実から,第1頚椎後面の外側へのはく離操作は,正中より19mm外側以内が安全域と考えられる.また,全例において,第2頚神経が環椎椎弓下縁から背側に現れる位置は,椎骨動脈が後頭環椎間膜へ進入する位置よりも内側に位置していた.正中からはく離操作を行う際には,第2頚神経が環椎椎弓下縁から現れる位置を確認して,これを椎骨動脈のランドマークとする必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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