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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科44巻4号

2009年04月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

低分子量へパリンとXa因子阻害剤

著者: 藤田悟1

所属機関: 1宝塚第一病院整形外科

ページ範囲:P.382 - P.384

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■はじめに

 日本では長い間,静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物予防には未分画へパリンとワルファリンしか使用できなかったが,2007年以降,活性化凝固第X因子(Xa)阻害剤であるフォンダパリヌクスと低分子量へパリンであるエノキサパリンが相次いで発売された.これらの新しい抗凝固薬は,従来の薬剤より有効性が高く,未分画へパリンより安全性が高く,ワルファリンのようなINRモニタリングの必要がないなどの特徴をもつ.日本国内で行われた下肢人工関節置換術患者を対象にした臨床試験1,2)において,これらの薬剤はプラセボのVTEリスクを50~75%減少させる効果が認められたが,同時に大出血も2~3%に発生した.これらの薬剤が発売されてから,人工股関節全置換術(THA),人工膝関節全置換術(TKA),および股関節骨折手術(HFS)術後のVTE予防は,弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法などの理学的予防法から抗凝固療法へ変わってきた.こうした中,抗凝固療法の合併症である出血での死亡例も報告されている5).本稿では,これらの薬剤の特性と適正な使用方法を解説する.

参考文献

1) Fuji T, Ochi T, Niwa S, et al:Prevention of postoperative venous thromboembolism in Japanese patients undergoing total hip or knee arthroplasty:two randomized, double-blind, placebo-controlled studies with three dosage regimens of enoxaparin. J Orthop Sci 13:442-451, 2008
2) Fuji T, Fujita S, Ochi T:Fondaparinux prevents venous thromboembolism after joint replacement surgery in Japanese patients. International Orthopaedics (SICOT)32:443-451, 2008
3) 藤田 悟:静脈血栓塞栓症に対する最新の薬物的予防法―フォンダパリヌクス.骨・関節・靱帯20:1253-1257,2007
4) 藤田 悟:新しい低分子量ヘパリン.エノキサパリンナトリウム.344-349(櫻川信男・他:抗凝固薬の適正な使い方.第2版,新しい抗凝固薬,医歯薬出版,東京,2008)
5) グラクソ・スミスクライン株式会社:アリクストラ皮下注1.5mg・2.5mg 市販直後調査 最終報告.2008年2月作成
6) 会告:アリクストラ使用上の注意について.日整会誌81:846-847,2007
7) Massonnet-Castel S, Pelissier E, Bara L, et al:Pertial reversal of low molecular weight heparin(PK10169) anti-Xa activity by protamine surfate:in vitro and in vivo study during cardiac surgery with extracorporeal circulation. Haemostasis 16:139-146, 1986
8) 丸山征郎:Xa阻害剤の安全性と副作用をみる.204-211.(池田康夫・他:Xa阻害剤のすべて,先端医学社,東京,2007)
9) 日本整形外科学会肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン改定委員会:日本整形外科学会静脈血栓塞栓症予防ガイドライン.南江堂,東京,pp1-26,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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