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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科44巻5号

2009年05月発行

文献概要

連載 整形外科と蘭學・24

杉田玄白と解体新書(その2)

著者: 川嶌眞人1

所属機関: 1川嶌整形外科病院

ページ範囲:P.492 - P.495

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■山脇東洋と杉田玄白

 山脇東洋の京都六角獄舎における解剖に参加した小浜藩の小杉玄適(1730~1791)は,佐知隆建の次男で小浜藩医小杉玄統の養子となり,延享2年(1745)に家督を相続,150石の扶持,後に奥医師まで勤めた医師であるが,日本最初の人体解剖の許可を受けたということ,杉田玄白の人生に大きな衝撃を与えた人物として,もっと評価されてよい人物である.玄適は江戸に戻ると,小浜藩の同僚である22歳の玄白に京都における解剖の状況をつぶさに伝えた.

 玄白はその時の様子を,享和2年(1802)に書いた回想録「形影夜話」に大きな衝撃と感動を受けたと記録している.関西の人々の下風に立つのがよほどくやしかったのか,東洋がわずかひとりだけの解剖で「蔵志」を著したのは疎漏とまでいっている.玄白は大いに発奮し,何時の日か自分こそが本格的な解剖を行ってみせると決意を固めた.そのための準備をまず始めるしかないと徐々に行動を開始するのであるが,高価な西洋の解剖書を入手することがなかなかできなかった.

参考文献

1) 川嶌眞人:蘭学の泉ここに湧く.西日本臨床医学研究所,中津市,1992
2) 川嶌眞人:水滴は岩をも穿つ.梓書院,福岡市,2006
3) 片桐一男:杉田玄白.吉川弘文館,東京都,1971
4) 片桐一男:蘭学事始とその時代.NHK出版,東京,1997
5) 片桐一男:杉田玄白.蘭学事始.全訳注.講談社学術文庫,東京,2000
6) 酒井シズ:解体新書.講談社学術文庫,東京,1998
7) 岡本 喬:解剖事始.同成社,東京,1988
8) 澤田隆治:角館武家屋敷青柳家.創童舎,仙台市,2004
9) 和田信二郎:中川淳庵先生.立命館出版部,京都市,1941

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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