icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科44巻5号

2009年05月発行

文献概要

症例報告

大腿骨転子部骨折術後両下肢壊疽に陥った1例

著者: 大野一幸1 井内良2 小橋潤己1 行方雅人1 世古宗仁1 篠田経博1

所属機関: 1大阪船員保険病院整形外科 2大阪労災病院整形外科

ページ範囲:P.511 - P.514

文献購入ページに移動
 症例は83歳の女性で,大腿骨転子部骨折の術後から右下肢の麻痺,両下肢の冷感が出現した.MRアンギオグラフィで右は大腿動脈分岐部で,左は外腸骨動脈で閉塞していた.合併症に心房細動,心不全があり,骨折と手術侵襲による脱水,血液凝固能の亢進により,血栓・塞栓が生じたものと推定される.診断時には右下肢は麻痺しており血行再建の適応はなかった.筋腎代謝症候群は生じなかったが,右の股関節離断を行わざるを得なかった.大腿骨転子部骨折後における急性動脈閉塞症の発症はこれまで報告がなく,下肢の血行不良例に対しては術前評価を行い,術後血行動態の変化時には急性動脈閉塞症の合併も考慮に入れるべきと考えられた.

参考文献

1) Calligaro KD, Dougherty MJ, Ryan S, et al:Acute arterial complications associated with total hip and knee arthroplasty. J Vasc Surg 38:1170-1177, 2003
2) 平松伸一,青柳成明,永川紀子・他:急性動脈閉塞症の診断と治療.臨床と研究82:654-658,2005
3) 長尾卯乃,中村一郎,斉藤公久・他:人工膝関節全置換術後に急性動脈閉塞をきたした関節リウマチの1例.整形外科58:1353-1356,2007
4) 中野 赳(監修):第7回ACCPガイドライン.静脈血栓塞栓症の予防および妊娠中の抗血栓薬の使用.pp29-31,メディカルフロントインターナショナルリミテッド,東京,2006
5) 重松 宏(監訳),日本脈管学会(編):下肢閉塞性動脈硬化症の診断・治療方針 II.メディカルトリビューン,東京,pp68-80,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら