臨床整形外科44巻6号

2009年06月発行

論述

大腿骨近位部骨折手術後の歩行能力に対する入院時予測チャート（prospective study）

著者： 藤田英彦¹ 伊藤淳²

所属機関： ¹湘南泉病院整形外科 ²国際医療福祉大学熱海病院整形外科

ページ範囲：P.535 - P.540

　われわれは大腿骨近位部骨折患者が入院した際に，簡易知能評価を中心とした簡単な問診を行い，予測チャートを用いて手術後の歩行能力予測を立てている．本予測チャートを使い始めた2002年6月から2007年8月までに当院において手術を行った474例のうち345例(平均年齢：84.2歳，65～98歳)(男性：47例，女性：298例)に対しprospective studyを行った．本予測チャートの感受性は92％，特異性は91％であった．本予測チャートは入院時の簡単な問診だけで術後の歩行能力予測を立てられる有効な手段と考える

参考文献

1) 藤田英彦，伊藤　淳：大腿骨頸部骨折手術後の歩行能力におよぼす痴呆の影響．神奈川整・災誌13：167-170，2000

2) 藤田英彦，伊藤　淳：大腿骨頸部骨折手術後の歩行能力維持に影響を及ぼす痴呆関連因子について．関東整災誌34：362-366，2003

3) 藤田英彦，伊藤　淳：大腿骨頸部骨折手術後の歩行能力に対する入院時予測チャート．関東整災誌35：361-368，2004

4) 伊藤　淳，森岡　健，小見渕伸正・他：大腿骨転子部骨折を生じた80歳以上の高齢者の術後の予後．骨折22：158-162，2000

5) 加藤伸司，下垣　光，小野寺敦志・他：改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の作成．老年精神医学雑誌2：1339-1347，1991

6) 菊地忠志，松本真一，菊地臣一・他：大腿骨頸部骨折治療後における歩行能力について．整形外科43：1879-1883，1992