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関節機能温存法―人工関節置換術か代替法か
著者: 上田孝文1 土屋弘行2 岩本幸英3
所属機関: 1国立病院機構大阪医療センター整形外科 2金沢大学大学院医学系研究科機能再建学(整形外科学) 3九州大学大学院医学研究院整形外科学
ページ範囲:P.555 - P.565
文献購入ページに移動上田 孝文
はじめに
骨肉腫を代表とする四肢原発の骨・軟部悪性腫瘍(肉腫)に対する患肢温存療法は,1970年代に始まる全身補助化学療法の進歩に伴い,確立されてきた.当初は,腫瘍広範切除術後に人工骨スペーサーを挿入し,二期的にカスタムメイドの腫瘍用人工関節を用いて患肢再建することからスタートしたが(図1),その後より利便性の高いモジュラー型の腫瘍用人工関節システムが開発されるようになり,現在では患肢再建法の主流となっている.一方で,腫瘍用人工関節よりも安価でかつ腫瘍広範切除後の骨関節欠損部の形状・部位への適合性のよい,同種骨関節移植(massive bone allograft)が欧米ではかなり広く用いられており,また本邦などallograftの手に入りにくい地域では,その代替法としての各種術中自家処理骨移植術が患肢再建法として応用されている.さらには,血管柄付自家腓骨移植を用いた“living bone”による患肢再建法や,関節温存を目的とした創外固定器を用いての骨延長術による再建法なども適応症例を選んで用いられている.いずれの方法にも利点と欠点があり,一概に最適の方法といえるようなものは存在しないが,下肢荷重関節部の再建には腫瘍用人工関節が最も安定した長期成績を示している.ここでは,腫瘍用人工関節側の立場から各種自家処理骨など他の代替再建法と対比させながら,骨・軟部悪性腫瘍に対する患肢温存術における双方の得失を議論し,その適応と問題点を明らかにし,さらに今後の展望についても考察したい.
参考文献
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