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連載 医者も知りたい【医者のはなし】・35
炎の眼科医 土生玄碩(1762-1848)
著者: 木村專太郎1
所属機関: 1木村専太郎クリニック
ページ範囲:P.826 - P.829
文献購入ページに移動ところで,玄碩がシーボルトに与えた葵の紋服は,もとより将軍家拝領品である.後に,玄碩は,文政11年(1828)のシーボルト事件でこの件の責を問われ,晩年の大半を刑に服することになる.すでに,幕府御殿医という地位・名声・富を得ていた玄碩が,敢えて国禁を犯してまで薬を入手しようとしたのは何故であろうか.常に新しい手術法を考案するために,あらゆることを貪欲に学ぼうという意欲にあふれる玄碩にとって,手術を容易にする散瞳剤を見逃すことができなかったのであろう.ひとえに,万人を救うことを最優先したと考えたい.それで題も「炎の眼科医」とした.
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