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座談会
スポーツ選手の腰痛への対応
著者: 中川泰彰1 吉田宗人2 向井直樹3 森北育宏4 山本利春5 加藤一人6 清水克時7
所属機関: 1京都医療センター 2和歌山県立医科大学 3筑波大学 4大阪体育大学 5国際武道大学 6(株)PNF研究所 7岐阜大学
ページ範囲:P.919 - P.928
文献購入ページに移動清水 スポーツ選手にとって腰痛は,頻度の高い大きな問題ですが,「腰痛はスポーツ傷害である」という認識がまだまだ低いという印象があります.スポーツ傷害というと,上肢・下肢ばかりが強調されている点も否めません.また日本のスポーツ選手は怪我を根性論で治すのが当たり前のような空気が残っていて,適切な治療を受けずに頑張ってしまい,予後のよくないケースも見受けられます.
本日はそのような問題に答えるため,スポーツ選手の腰痛への対応というテーマでお話いただきます.
まず,スポーツ選手の腰痛とはどのようなものかについてからはじめましょう.スポーツ選手の腰痛と一般の人の腰痛に違いはあるでしょうか.
中川 腰痛そのものの原因・種類に関しては,スポーツ選手と一般国民とでそれほど違う要素はないと思います,しかしスポーツ選手の場合は,日常生活レベルでは回復といえず,そのスポーツの動作ができてはじめて「治療できた」ことになり,その意味では復帰のレベルが違います.
たとえば,相撲では腰椎分離症(以下,分離症)が大きな問題になりますが,相撲が取れるまでに回復するとなると,すぐには解決しません.治療の最終ゴールが大きく違うことが1つのポイントと思います.
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