臨床整形外科44巻9号

2009年09月発行

臨床経験

腰部脊柱管狭窄症患者における足関節背屈筋力を用いた手術・保存療法の評価

著者： 池田光正¹ 西野仁² 浜西千秋¹ 福田寛二²

所属機関： ¹近畿大学医学部整形外科 ²近畿大学医学部整形外科・リハビリテーション部

ページ範囲：P.947 - P.950

　脊柱管狭窄症患者61名(男28名，女33名)に対し手術・保存治療の客観的評価に足関節背屈筋力が有益であるかを検討した．等速運動機器を用いて，経時的に背屈筋力を測定した．提唱した筋力低下境界値は徒手筋力テスト(MMT)と85％以上の一致を認め有効な指標であった．4領域以上の筋力であれば回復の見込みが期待でき，MMTで筋力低下がないと診断された症例にも潜在的筋力低下が認められた．手術群は保存群よりも早期に改善し，1年後の改善率も優れていた．等速運動機器を用いた筋力評価が治療効果の客観的評価に有益であった．

参考文献

1) 林　信宏，吉田宗人：腰部脊柱管狭窄症の自然経過．現代医療33：1311-1316，2001

2) 池田光正，松村文典，福田寛二・他：正常人と腰部脊柱管狭窄症患者における足関節背屈筋力評価の検討．臨整外41：1057-1061，2006

3) 池田光正，松村文典，浜西千秋・他：腰椎疾患における足関節筋力評価の検討．日脊会誌17：295，2006

4) 池田光正，西野　仁，松村文典・他：腰部脊柱管狭窄症の手術・保存的治療の効果．中部整災誌50：619-620，2007

5) 上原暁史，酒勾　崇，武富栄二・他：下垂足を伴う腰部脊柱管狭窄症症例の検討．整形外科と災害外科41：422-424，1992

6) 米倉暁彦，瀬良敬祐，宮原健次・他：腰部疾患に伴う下垂足の予後調査．整形外科と災害外科41：422-424，1992