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整形外科/知ってるつもり
文献概要
■はじめに
頚性めまいは賛否両論のあるめまい疾患領域である.一番の問題点は,典型的頚性めまいの頻度が少ないため,医師が頚性めまいを見たことがないことである.そのため,その存在を否定,または疑問視している医師が多いことである.教科書的にも,頚性めまいについての記載は少ない.ドイツの神経内科医であるトーマス・ブラント著の『めまい』6)には,頚性めまいの存在については,否定的な見解を述べている.その一方で,アメリカでは頚性めまいを重視する報告も認め,日本めまい平衡医学会では診断基準を設け肯定的な意見である8).
埼玉医大の伊藤らの報告7)によると,過去17カ月のめまい外来総受診数2,007例のうち頚性めまいは2例のみであった.横浜市立みなと赤十字病院の過去4年間のめまい入院患者総数約2,000例で,そのうち椎骨脳底動脈循環不全症(以下VBI)を除く狭義の頚性めまいの診断は3例のみであり,典型例が少ないのは事実である.
頚性めまいは賛否両論のあるめまい疾患領域である.一番の問題点は,典型的頚性めまいの頻度が少ないため,医師が頚性めまいを見たことがないことである.そのため,その存在を否定,または疑問視している医師が多いことである.教科書的にも,頚性めまいについての記載は少ない.ドイツの神経内科医であるトーマス・ブラント著の『めまい』6)には,頚性めまいの存在については,否定的な見解を述べている.その一方で,アメリカでは頚性めまいを重視する報告も認め,日本めまい平衡医学会では診断基準を設け肯定的な意見である8).
埼玉医大の伊藤らの報告7)によると,過去17カ月のめまい外来総受診数2,007例のうち頚性めまいは2例のみであった.横浜市立みなと赤十字病院の過去4年間のめまい入院患者総数約2,000例で,そのうち椎骨脳底動脈循環不全症(以下VBI)を除く狭義の頚性めまいの診断は3例のみであり,典型例が少ないのは事実である.
参考文献
1) 新井基洋,【樋】口彰宏,梅川淳一・他:めまい患者におけるMRAの有用性―椎骨脳底動脈循環不全を中心に.日耳鼻99:1202-1212,1999
2) 新井基洋,【樋】口彰宏,伊藤能成・他:MRAとSPECTを用いた高齢めまい患者の脳血流量の検討―末梢前庭性めまいと中枢性めまいの比較Equilibrium Res 60:169-176,2001
3) 新井基洋,伊藤能成,持松泰彦・他:めまい患者の椎骨脳底動脈におけるMRA所見と頚部超音波検査の比較検討.Equilibrium Res 60:362,2001
4) 新井基洋,高橋直一:良性発作性頭位めまい症の病態から治療まで.治療88:1521-1528,2006
5) 新井基洋,入澤ゆかり,高橋直一:高齢者の椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)―その特徴と取り扱い方,臨床における問題点について―.MB ENTONI 87:81-87,2008
6) トーマス・ブラント,寺元 純(監訳):めまい.pp216-225,診断と治療社,東京,1994
7) 伊藤彰紀,水野正浩:中枢性めまいと頚性めまい.武田憲昭(編).耳鼻咽喉科診療プラクティス6.EBMに基づくめまいの診断と治療.pp54-58,文光堂,東京,2001
8) 小松崎篤:頚性めまい.めまい診断基準化のための資料―1987年めまい診断基準化委員会答申書.Equilibrium Res(suppl) 11:54,1995
9) 二木 隆:Barre-Lieou症候群.日本平衡神経学会編.平衡機能検査の実際.pp68-76,南山堂,東京,1986
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