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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻11号

2010年11月発行

文献概要

臨床経験

高齢者の第4腰椎変性すべり症に対する低侵襲腰椎棘間切除式椎弓間除圧術の2年以上成績

著者: 沼沢拓也1 小野睦1 和田簡一郎1 山﨑義人1 藤哲1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座

ページ範囲:P.1019 - P.1023

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 目的:高齢者の第4腰椎すべり症に対し棘間切除による低侵襲除圧術の2年以上成績を調査した.方法:対象はMeyerding分類Ⅰ度で椎間可動域20°以下あるいは後方開大5°以下の60歳以上のL4/5単椎間の腰椎変性すべり症で,本術式を施行し術後2年以上追跡した23(男11,女12)例であった.結果:臨床的に術後1年および最終観察時までJOAスコア,腰痛VASおよび腰痛関連ADLは維持されていた.画像的には立位腰椎前弯角,L4/5椎間可動域は術前後で有意な変化はなかったが,L4/5椎間板高および%slipの有意な変化がみられた.結論:今回の結果からは,60歳以上の高齢者で25%以下の軽度不安定性の第4腰椎変性すべり症では,棘間切除の除圧法により椎間板高低下に伴う前方すべりの進行を伴うものの,術後2年以上経過しても臨床的に症状の改善,維持が可能であることが示された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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