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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻11号

2010年11月発行

文献概要

症例報告

髄内腫瘍が疑われた脊髄梗塞の1例

著者: 黒田一成1 川原範夫1 村上英樹1 出村諭1 岡山忠樹1 菊池豊2 徳海裕史3 富田勝郎1

所属機関: 1金沢大学医学部整形外科 2山中温泉医療センター整形外科 3浅ノ川総合病院整形外科

ページ範囲:P.1061 - P.1064

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 当初髄内腫瘍と診断した脊髄梗塞の1例を経験した.症例は79歳の男性で,特に誘因なく右上下肢の筋力低下が出現した.MRIでC3レベルにT1低信号,T2高信号で造影効果を呈する病変を認め,当初出血を合併した頚髄髄内腫瘍と診断した.高齢で心疾患の合併があり,抗凝固療法中のため,手術は除圧術のみを施行した.しかし,術後MRIで髄内病変はMRIの信号変化がないまま小さくなり,造影効果の減弱も認めた.このMRI所見から,本症例は髄内腫瘍ではなく脊髄梗塞であると診断した.髄内腫瘍が疑われる脊髄病変を認めた場合,脊髄梗塞も鑑別に挙げる必要があり,その診断には経時的なMRIの評価が有用である.

参考文献

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2) 奥秋 保:前脊髄動脈症候群における経時的MRI画像の検討.日本パラプレジア医会誌12:52-53,1999
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6) 重松浩司,面川庄平,高岡孝典・他:下位胸髄から腰髄部に生じた脊髄梗塞の1例.整・災外45:867-872,2002
7) 坪井 崇,安藤哲郎,土方靖浩・他:急性期に拡散強調画像で診断し得た脊髄梗塞の1例.脊椎脊髄21:1026-1033,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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