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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻11号

2010年11月発行

文献概要

症例報告

上腕二頭筋腱膜の絞扼による前骨間神経麻痺の1例

著者: 鈴木拓1 山中一良1 宮崎馨1 佐々木孝2

所属機関: 1済生会横浜市東部病院整形外科 2済生会神奈川県病院整形外科

ページ範囲:P.1065 - P.1067

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 上腕二頭筋腱膜による絞扼が発症の要因となった前骨間神経麻痺の1例を報告する.患者は43歳の女性で,左上肢の運動の際に上肢の激痛が出現した.数日で疼痛は軽快したが,母指,示指の屈曲障害が出現した.前骨間神経麻痺の診断で保存的に加療していたが症状の改善を認めなかったため,発症4カ月後に手術を行った.上腕二頭筋腱膜の一部が索状に硬化しており前骨間神経の神経束を圧迫していたため,この腱膜を切離した.術後3カ月で筋力は正常に回復した.前骨間神経麻痺の要因として上腕二頭筋腱膜が関与していた症例は稀である.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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