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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻12号

2010年12月発行

文献概要

視座

X線美学のススメ

著者: 三浦裕正1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科運動器学分野

ページ範囲:P.1075 - P.1075

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 X線美学.これは整形外科手術の術後X線の美しさを感じ取り,その美を追求することを意味する造語である.術後X線像を見た時,美しいと感じることができる場合と,そうでない場合がある.どのような時に美しいと感じるのであろうか.また,その美しさは一般人にも共通した感覚であろうか.以前,人工膝関節置換術(TKA)の術後X線像をコンピュータ上で画像処理して,脛骨コンポーネントの内反角度を0°,3°,5°と変化させたものをわが家の高校生の娘に見せて,どの写真が美しいかと尋ねたことがある.娘は「0°と3°はきれいに見えるけど,5°は歪んで見えるわね」と即答した.どうも人間は本能的に美しいものとそうでないものを峻別する能力を持ち合わせているようだ.

 そして,機能美という言葉があるように,一般的に美しいものは機能的にも優れている.チータの体くの繊細でしなやかな美しさと,あの俊敏な走りとは明らかに連動している.TKAも然りである.3°という角度は,臨床的にも長期成績を左右する分岐点となっており,見かけだけでなく長期成績のうえでもクリティカルポイントになっている.TKAの術後X線像が美しくなければ,不均一な荷重分布を来し,ポリエチレンの摩耗やインプラントのゆるみが発生するのである.しかし,TKAの術後X線像の美しさを左右する因子は何であろうか.最も重要な要素はコンポーネントの設置角度であることは言うまでもないが,サイズの適合性や,十分な骨棘の除去,良好な靱帯バランスなども無視できない要素であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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