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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻12号

2010年12月発行

文献概要

整形外科基礎

座位における腰椎骨盤矢状面アライメントの特徴

著者: 遠藤健司1 鈴木秀和1 木村大1 水落順1 田中英俊1 山本謙吾1

所属機関: 1東京医科大学整形外科

ページ範囲:P.1119 - P.1123

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 姿勢の変化は,腰痛疾患の発生と深く関わっていることが知られているが,座位における脊椎アライメントの検討は少ない.今回われわれは,立位,座位の脊椎矢状面アライメントを計測し,座位における腰椎・骨盤アライメントの特徴を検討した.対象は,健常成人ボランティア53人(男性25人,女性28人,平均年齢31.4±7.2歳)で,単純X線腰椎側面を立位,背もたれ付きの座位で撮影し,腰椎前弯角(LLA),仙骨傾斜角(SS),骨盤回旋角(PA),骨盤形態角(PRS1),L1椎体中央から垂直におろしたプラムラインと骨頭中心との距離(L1-hip offset)について検討した.立位,座位で,LLA;33.4±10.0°,15.5±13.2°,SS;37.4±7.3°,19.1±11.4°,PA;14.9±6.8°,34.2±11.1°,PRS1;37.0±8.7°,36.9±9.1°,L1-hip offset;34.0±20.0mm,67.5±29.3mmであった.PRS1は,個人固有の骨盤形態を示す角度であるため,立位,座位で変化はなかったが,LLAは,平均17.2°(51.5%),SSは平均18.0°(48.1%)座位で減少し,PAは平均18.6°(124.8%)増加した(p<0.01).L1-hip offsetは座位で拡大し,LLAと負の相関関係(r=-0.29,p=0.03),PAと正の相関(r=0.54,p<0.01)を呈していた.立位では荷重中心が可動性を有する股関節であり腰椎前弯は強く骨盤は前傾していたが,座位では荷重中心が坐骨に後方移動して,骨盤は後傾化していた.座位腰椎アライメントは,立位に比較して,骨盤は後傾し腰椎前弯は減少していた.立位,座位における腰椎,骨盤アライメントの変化についての理解は,姿勢の変化に随伴する腰痛症の解明に重要であると考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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