icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻2号

2010年02月発行

文献概要

視座

「鬼手仏心」について

著者: 赤木將男1

所属機関: 1近畿大学医学部附属病院整形外科

ページ範囲:P.105 - P.106

文献購入ページに移動
 多くの外科医は「鬼手仏心」という言葉をどこかで耳にしたことがあろう.座右の銘として紹介されたり,あるいは診察室の壁に額装された書として掛けられたりしているのに気づくことがある.私の場合は,卒後2,3年目の臨床研修を送った京都市立病院整形外科部長(後に同病院院長)の森英吾先生にこの言葉を教えていただいた.前期臨床研修が終了し,これから執刀医として地方の医療機関に赴任する若い医師に,恩師は「鬼手仏心」と自書された革製ケースに持針器を納め,送別会の席でこれを手渡して私達を送り出したのである.その際,言葉の意味を簡単に説明される.「外科医は鬼のようにメスで患者を切るわけだが,その背景には仏のように慈悲深い心がなければならない」「持針器は自分が切った部位を罪償いの気持ちをもって縫合するよう差し上げる」と.手術手技の修練に日々務めるよう激励するとともに,功名心にはやる若い外科医を諫め,医師としての基本的な心構えを諭す親心で,この言葉を伝えられたのだろうと思う.たものでなければ,到底医療行為と言える代物ではない.このように「鬼手仏心」は医療の本質に触れた言葉で興味深い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら