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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻2号

2010年02月発行

文献概要

症例報告

G群溶連菌による壊死性筋膜炎の1例

著者: 平井伸幸1

所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科

ページ範囲:P.185 - P.188

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 症例は78歳の男で,前立腺癌,骨転移を有する.発熱および左下肢の発赤腫脹で受診した.左下腿に皮膚の壊死を伴い切開により漿液性の米のとぎ汁様の膿汁が多量に排出した.培養でG群溶連菌が検出された.局所のデブリドマンおよびペニシリン系抗生剤とクリンダマイシンの投与で全身状態は改善した.G群溶連菌は従来,病原性が弱いとされてきたが,近年,易感染性宿主に対する重篤な感染症の報告が増加している.過去10年間のG群溶連菌による壊死性筋膜炎の本邦報告例の検討では,基礎疾患を有する患者や高齢者に多く,致死率は28.5%と高率であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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