臨床整形外科45巻4号

2010年04月発行

調査報告

結核性脊椎炎および関節結核に関する疫学的調査

著者： 井澤一隆¹ 町田正文² 井本一彦¹ 米延策雄³

所属機関： ¹独立行政法人国立病院機構刀根山病院整形外科 ²独立行政法人国立病院機構村山医療センター臨床研究センター ³独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター

ページ範囲：P.317 - P.322

　結核性脊椎炎および関節結核に関する整形外科医に対する全国的なアンケート調査を行い，治療の現状と問題点について検討した．アンケートの結果，都市部の施設での治療例が多くみられたが，結核発生率の地域差と手術治療ができる施設の偏在を反映したものと考えられた．診断に関しては，初期診断が困難・誤診率が高いとする意見が大半を占めていた．治療に関しては脊椎前方固定術単独が最も多く，インストゥルメンテーションの適応については慎重である傾向が伺えた．調査を通じて診断，治療，施設などの問題点が浮き彫りになったと言える．

参考文献

1) 岩名大樹，井澤一隆，鍋島隆治・他：脊椎カリエスの診断―骨粗鬆性圧迫骨折，転移性脊椎腫瘍との鑑別．臨整外37：859-866，2002

2) 井澤一隆：骨関節結核の診断と治療．日本医事新報4411：62-66，2008

3) 井澤一隆：結核性肩関節炎の臨床像―12例の検討．肩関節33：801-804，2009

4) Jain AK:Tuberculosis of the spine:A review. Clin Orthop 470:39-49, 2007

5) 河村光廣，井澤一隆，岩名大樹・他：結核性脊椎炎に対するinstrumentationの術後成績．臨整外37：1213-1218，2002

6) Maeda Y, Izawa K, Nabeshima T, et al:Tuberculosis spondylitis in elderly Japanese patients. J Orthop Sci 13:16-20, 2008

7) World Health Organization:Global tuberculosis control:epidemiology, strategy, financing:WHO report 2009:22-23, 2009

8) 財団法人結核予防会(編)：結核の統計2008．財団法人結核予防会，39-130，2008