臨床整形外科45巻4号

2010年04月発行

症例報告

小児膝骨関節結核の治療経験

著者： 金澤知之進¹ 副島崇¹ 村上秀孝¹ 永田見生¹ 中村英智²

所属機関： ¹久留米大学医学部整形外科 ²筑後市立病院整形外科

ページ範囲：P.373 - P.377

　今回，2歳の幼児の膝関節に発生した結核性骨関節炎を経験したので報告する．症例は2歳の男児で，誘因なく歩かなくなったとのことで近医を受診した．初診時に膝関節の軽度腫脹を認め経過観察されていたが，発症後3カ月の関節液PCR検査で結核菌が検出され結核性骨関節炎と診断，抗結核薬の投与と病巣掻爬を行った．術後約6年において，関節炎の再発や可動域制限，内外反変形，脚長差は認めていない．結核性骨関節炎は若年者においては成長障害の可能性も考え，膝関節炎の鑑別診断の1つとして考慮せねばならない．

参考文献

1) Erdem H, Baylan O, Simsek I, et al:Delayed diagnosis of tuberculous arthritis. Jpn J Infect Dis 58:373-375, 2005

2) 藤田正樹，斉藤正史，新納伸彦・他：骨関節結核　結核性関節炎．整形外科55：1068-1073，2004

3) Hoffman EB, Allin J, Campbell JA, et al:Tuberculosis of the knee. Clin Orthop 398:100-106, 2002

4) 井上郁里，星　　学，家口　尚・他：5年の診断遅延をきたした結核性膝関節炎の1例．整・災外51：867-870，2008

5) Kerri O, Martini M:Tuberculosis of the knee. Int Orthop 9 (3):153-157, 1985

6) 永島英樹，豊島良太：骨・関節結核の動向．整・災外50：121-125，2007

7) Tuli SM:General principles of osteoarticular tuberculosis. Clin Orhop 398:11-19, 2002

8) 山下誠三，天野壽男，平野信夫・他：当院における最近10年間の膝関節結核症例の臨床的検討．中部整災誌33：262-264，1990