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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻5号

2010年05月発行

文献概要

視座

世の中と整形外科

著者: 永田見生1

所属機関: 1久留米大学医学部整形外科学講座

ページ範囲:P.397 - P.398

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 平成21年の夏,自民党から民主党へ政権交代が起こり,民主党はマニフェストで,国際水準並みの診療報酬の増額を謳った.しかし,期待した埋蔵金はなく,財源探しに四苦八苦の状況の中,財務省は減額すべきと答申を出した.結果的には,診療報酬は雀の涙ほどの+0.19%の全体改定率にとどまった(診療報酬本体+1.55%,医科+1.74%:入院+3.03%,外来+0.31%,薬価と材料価格-1.36%).整形外科は今までが高収入と,われわれにとっては逆風の報道があり,日本臨床整形外科学会は実体を調査し報告したが,どのような決着の診療報酬改定になるか今のところ定かではない.本誌が発刊される頃には,一喜一憂がはっきりするだろう.日本整形外科学会,日本臨床整形外科学会は毅然とした態度で,整形外科医が世の中に果たしている重要な役割と,真摯な勤務状況からみると過小というべき報酬であることを国民に知らせるべきである.

 1978年,アメリカ在住のインド人経済学者ラビ・バトラ氏は2000年までにソ連共産主義は崩壊し,中国共産主義は発展途上のために続くと予言した.その予言通りに,1991年にソビエト連邦は解体され,独立したロシアはプーチン氏主導により国営的とも言える異質な資本主義国家に変貌している.中国に対する予言も当たってはいるが,資本主義を取り入れたため,民族問題も相俟って西方地域で暴動が起こっている.筆者は2007年8月に新疆ウイグル自地区のウルムチにある新疆医科大学第6附属病院の創立50周年記念に講演のため訪問した.ここには,脊椎骨切りで有名な田慧中先生が脊椎外科研究所を設立しており,北大の金田清志名誉教授らの訪問歴が記載されていた.ウルムチで入った屋台で,少数民族と呼ばれているウイグル族と漢民族と間で,いきなり殴り合いの喧嘩が始まり,どんどん拡大したので慌ててホテルに退避した.当時から両民族は一触即発の状態であり,中国は不安定な国家であることと,まだまだ発展途上であることを実感した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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