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誌上シンポジウム 整形外科領域における抗菌薬の使い方
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著者: 浜西千秋1
所属機関: 1近畿大学医学部整形外科学
ページ範囲:P.490 - P.490
文献購入ページに移動筆者が若かりし頃は,つまり30年以上前ではあるが,人工関節手術であれば予防的抗菌薬は10日~2週間も処方したものである.当時アメリカの論文ではすでに術後4~5日の投与でよいと言われ始めていた.しかしいくら何でもそれでは短すぎるだろう,アメリカは何という国だと思い,「安全弁」としての抗菌薬の投与期間を短縮する気にはなかなかなれなかった.そのうち多剤耐性菌が問題となり始めた.しかし漫然とした長期投与こそが犯罪的であるというまでの意識変化にはかなり時間がかかったと思う.当時,私は術野を満たす血液に抗菌薬が含まれていれば洗浄効果があるのではないか,そうであれば術直前に投与することが一番有効ではないかと考えていたが,手術場で若い担当医の分際で指導医や執刀医にそれを申し出て,麻酔科医に直前投与をオーダーすることはためらわれた.今日,術直前投与は必須であり,術後投与は人工関節手術ですら術後24時間で十分,術式によってはもはや術後の抗菌薬の予防的投与は不要というのが当たり前になりつつある.
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