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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻6号

2010年06月発行

文献概要

症例報告

肩関節離断術により救命し得た壊死性筋膜炎を伴う劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症の1例

著者: 野寺栄男1 佐々木勲1

所属機関: 1手稲渓仁会病院整形外科

ページ範囲:P.565 - P.568

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 上肢発症の壊死性筋膜炎を伴う劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,既往症に慢性B型肝炎と慢性ネフローゼ症候群があった.右母指に小さな挫創を受傷した3日後にショック状態で救急搬送された.壊死性筋膜炎の疑いで直ちに抗ショック療法と抗生剤大量療法を行ったが,病状は時間単位で急激に進行した.搬送から4時間30分後,救命のため肩関節離断術を行った.受傷部位の穿刺液の培養でA群溶連菌が検出された.本症の治療には迅速な診断と切断術も含めた早期外科的治療が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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