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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科45巻7号

2010年07月発行

文献概要

臨床経験

骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後に生じた遅発性神経根症

著者: 石元優々1 山田宏1 橋爪洋1 南出晃人1 中川幸洋1 河合将紀1 岩崎博1 吉田宗人1

所属機関: 1和歌山県立医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.619 - P.623

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 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後に生じた腰神経根症の4例を経験した.いずれも骨折部痛が軽快した後で椎間孔部狭窄症が発生していた.一般に同部の診断は難しく,本症例においても高度な下肢痛の原因を特定できなかった.この臨床上の問題点の解決策としてわれわれが着目したのが以下の3つの共通のエピソードである.1.骨粗鬆症性脊椎椎体骨折として保存的治療を受けた.2.骨折部痛が軽快後に歩行時の腰下肢痛が出現する.3.MRIや脊髄造影では明らかな病変を認めない.今回われわれは臨床の現場における注意を喚起する目的で骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後の遅発性神経根症という新しい疾患概念を提唱したい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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