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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科45巻8号

2010年08月発行

雑誌目次

誌上シンポジウム 四肢のしびれ感

緒言 フリーアクセス

著者: 武者芳朗

ページ範囲:P.682 - P.682

 整形外科の日常診療では,疼痛性疾患とともに四肢のしびれを主訴とした患者を診る機会が多い.「しびれ」といっても,日本語の場合,感覚鈍麻hypesthesia,感覚過敏hyperesthesia,錯感覚paresthesia,異常感覚dysesthesiaに加え脱力(運動麻痺)さえも含まれることがある.「しびれ」という訴えが具体的にどのような状況を指しているのかは患者それぞれで異なるため,問診で殊に高齢者との会話からその人の表現する「しびれ」が神経学的には何を意味するのかを聞き出すのは容易ではない.脱力を伴っていれば脳卒中も疑われ,緊急性を要することから速やかに診断をつけねばならない.脊髄,神経根,末梢神経性の圧迫障害や炎症性,変性性疾患に至っても,その症候,身体での広がり方や時間的推移などから神経学的診断,さらに画像およびその他の補助診断で病巣が特定できれば,根本的な治療が成り立つ.

圧迫性頚髄症の痛みとしびれ

著者: 竹下克志 ,   藤原奈佳子 ,   星地亜都司 ,   横山徹 ,   徳橋泰明 ,   遠藤健司 ,   加藤圭彦 ,   田口敏彦 ,   市村正一 ,   里見和彦 ,   平野徹 ,   伊藤拓緯 ,   三上靖夫 ,   坂浦博伸 ,   松本守雄 ,   中原進之介 ,   松本嘉寛 ,   清水克時 ,   岡山忠樹 ,   川口善治 ,   木家哲郎 ,   馬場久敏 ,   井尻幸成 ,   椎名逸雄 ,   戸山芳明 ,   中村耕三

ページ範囲:P.683 - P.687

 多施設横断研究により圧迫性脊髄症の痛み・しびれに関する調査を行った.後縦靱帯骨化症と頚椎症性脊髄症288名と健常者に患者背景,画像とともにquality of life(QOL)・頚椎関連・心理ストレス・痛みとしびれを調査した.治療内容によらず健常者に比しすべてのアウトカムが低下していた.活動制限を生じる痛みが保存治療で10%,手術治療で15%にみられた.痛みは腰・頚部,しびれは四肢が強く,numerical rating scale(NRS)5以上の頚部痛が36%,上肢しびれが41%にみられた.上肢しびれは四肢・体幹機能や心理ストレスと関連があり,満足度と相関していた.

圧迫性脊椎脊髄疾患や四肢切断術後の遺残性しびれの治療

著者: 大谷晃司 ,   菊地臣一 ,   紺野愼一

ページ範囲:P.689 - P.693

 しびれの治療戦略を考えるうえで,病態に即した治療法を選択することが重要である.特に何らかの刺激がなくてもビリビリするような異常感覚を主体とする“しびれ”は,痛みの実験モデルで考えると,炎症性疼痛や神経因性疼痛の特徴と重なると思われる.一方,“しびれ”を扱ううえで,留意しなければならない点は,しびれ自体,しびれに伴う機能障害,あるいはしびれの治療に対する満足度の判定や判断は,患者自身にゆだねられていることである.すなわち,しびれに関する訴えには,身体の解剖学的異常に伴う障害である身体的因子以外が関与する可能性があることを忘れてはならない.

四肢の難治性しびれに対するクロナゼパムの有効性

著者: 武者芳朗 ,   金子卓男 ,   重光俊男 ,   池谷昌道 ,   砂川隆英 ,   大谷崇裕 ,   中山隆之 ,   水谷一裕 ,   伊藤圭介

ページ範囲:P.695 - P.701

 一般的な薬物療法(NSAIDs,ビタミンB12)では効果が得られない,「主に脊椎疾患に関連した神経障害性」および「原因不明」の難治性四肢のしびれ44例に対するクロナゼパムの有効性を検証し,考察を加えた.内服開始後2カ月までに,下肢症状のみの4例が副作用(ふらつきまたは眠気)のため中止しており,有効性の評価は2カ月以上内服を続けた40例についてvisual analog scale(以下VAS)を用いて行った.2カ月後では3.2±2.5で投薬前7.0±1.9に比し有意に低値を示しており(p<0.001),有効と判定された.神経障害性はその他の原因不明例より効果が劣り,上肢の神経障害性には無効であった.両側性,神経麻痺,手術歴,冷感,睡眠障害などを伴うか否かで有効性を比較したが,いずれも差を認めなかった.副作用はふらつきと眠気であり,乗り物の運転は厳禁とし,特に高齢者の転倒には十分注意する.

Restless Legs Syndrome(レストレスレッグス症候群)

著者: 宮本雅之 ,   宮本智之

ページ範囲:P.703 - P.709

 Restless legs syndromeは,脚の異常感覚により脚を動かしたくなる衝動感,脚の運動による症状の軽減・消失,安静時の悪化,夜間の症状の出現により不眠を来す感覚運動障害である.鑑別疾患には,睡眠関連下肢こむらがえり,末梢神経障害・神経根症,下肢血行障害,アカシジアなどがある.治療は,睡眠衛生の見直しとともに増悪因子の排除,軽減策として入浴,ストレッチ,マッサージ,歩行などの運動があり,貯蔵鉄欠乏例では経口鉄剤を内服する.薬物療法はドパミンアゴニストが有効である.現状では本症の認知度が低いことから,本疾患に対する啓発が必要である.

仙腸関節障害に伴う下肢症状

著者: 村上栄一 ,   野口京子 ,   黒澤大輔 ,   相澤俊峰

ページ範囲:P.711 - P.714

 仙腸関節障害に伴う痛みとしびれの発生部位と頻度を保存療法例100例と重症手術例20例で検討した.両群とも上後腸骨棘周辺や,下腹部から鼡径部にかける痛みを訴える症例が多く,大腿から下腿にかけるdermatomeに一致しない痛みやしびれを伴っていた.重症例でしびれは広範囲に及んでいた.多彩な下肢の疼痛やしびれの部位から,この痛みの診断は困難であるが,上後腸骨棘周辺の痛みや鼡径部の痛みは仙腸関節障害に特徴的であり,この疾患を疑うポイントになる.Dermatomeに一致しない下肢の疼痛やしびれを訴える症例では,本疾患を念頭に置く必要がある.

整形外科とリエゾン精神医学

著者: 増子博文

ページ範囲:P.715 - P.718

 四肢のしびれ感と関連して,心因性の慢性疼痛(身体表現性障害)について精神科医の立場から述べた.心因性の慢性疼痛は頻度が多いこと,自覚的苦痛が強いこと,職業や社会生活が著しく障害されること,鎮痛薬の使用が症状を悪化させること,などが臨床的に重要である.症例として,10年間にわたり8回の手術を受けたが疼痛が改善せず,リエゾン精神医学的治療により回復した自験例を提示した.また,整形外科領域の心因性の慢性疼痛を疑うための質問票(BS-POP)を紹介した.

連載 工学からみた整形外科・2

ロボットを用いた関節バイオメカニクスの研究

著者: 藤江裕道

ページ範囲:P.720 - P.725

■はじめに

 20年以上前,私が大学4年生だったころは,工学部でバイオメカニクスの看板を掲げている研究室は日本全国で皆無であった.しかし,看板は違うが実質的にはバイオメカニクスを研究テーマとする研究室がわずかに存在した.幸いに,私が所属した東工大工学部の機械系にはトライボロジーの世界的権威であった笹田直教授がおられ,人工関節のバイオトライボロジーを研究テーマにされていた.それまでの先生の講義で出てくるバイオ関係の話を聞いて“そわそわ”し,いても立ってもいられなくなっていた私は,倍率2倍強のじゃんけんに勝って笹田研究室に草鞋を脱ぎ,骨折のバイオメカニクスに関する研究テーマをいただいた.そして笹田先生の教えを受けつつ,北里大学で動物実験を行うために,笹田研の先輩である馬渕清資先生(現北里大学医療衛生学部教授)の生体工学研究室に通うことになった.北里大学医学部は,当時としてはユニークな,臨床と基礎の研究室の壁が取り払われ研究者が自由に行き来できる環境が整えられていて,山本真整形外科主任教授(当時)が率いる山徳義郎助手(当時)ら,若い整形外科医とともに動物実験がすぐに開始された.機械工学科の典型である“油まみれ”の実験環境ではなく,“血まみれ”の実験環境に多少の不安感をおぼえたが,人類のQOL向上に役立つ研究であることに重要性を感じたし,それ以前に,バイオ研究独特の高揚感を覚え,自分の将来が決まったことを直感した.

 大学院修士課程を修了した私は助手として北里大学医学部(1987~1995)に採用され,生体関節の臨床バイオメカニクスの研究に着手した.その間に留学したピッツバーグ大学医学部(1990~1992)でも,そして大阪大学基礎工学部(1996~2000)に異動した後も同研究に精力を傾けた.大阪大学は医学部所属ではなかったが,医学部整形外科の史野根生先生(現大阪府立大学総合リハビリテーション学部教授)に声をかけていただき,先生が率いる研究グループと膝のバイオメカニクスに関する共同研究を開始した.研究開始当初,史野先生からいただいた言葉は「バイオメカニクスは自己完結できない」という手厳しいものであった.しかし逆に言えば,臨床医学の応用先を見据えて研究すれば相当のところまでいけるという意味にもなると思い直し,その後はますます臨床に近い研究テーマを求めるようになった.その後,工学院大学工学部(2001~2009),首都大学東京システムデザイン学部(2010~)と異動した間も,史野先生をはじめ,史野グループの中田研先生や中村憲正先生ら(両者とも大阪大学)との仕事を継続している.

 このように臨床家との付き合いが長く,多くの影響を受けたこともあって,工学系所属に戻った今も臨床寄りの研究テーマを多く抱えている.その中で,本稿では私のライフワークになりつつある,ロボットを使った膝関節バイオメカニクスの研究について簡単に紹介する.マイクロ加工技術を導入した幹細胞バイオメカニクスに関する研究にも力を入れているが,紙数の関係からその紹介は別に機会に譲ろう.

臨床経験

腰下肢痛に対するシロスタゾール製剤のQuality of Life改善効果

著者: 中村正生

ページ範囲:P.729 - P.735

 抗血小板剤シロスタゾール製剤は,閉塞性動脈硬化症の症状を改善する.本研究では腰部脊柱管狭窄症例20例に本剤を投与し,腰下肢痛・関連するquality of life(QOL)・跛行出現距離の4週間の推移を評価した.疼痛とQOLレベルをVisual Analogue Scale,日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準,日本語版ロランド・モリス問診票で,跛行出現距離を問診で評価した.疼痛・QOLレベルとも投与4週後に有意に改善し,跛行出現距離には改善の兆候がみられた.本剤は腰部脊柱管狭窄症に対する効果的な保存的療法の一つである.

症例報告

肩関節に発生した急速破壊型関節症の1例

著者: 下崎真吾 ,   北岡克彦 ,   島洋祐 ,   五嶋謙一 ,   富田勝郎

ページ範囲:P.737 - P.741

 肩関節に発生した急速破壊型関節症の1例を報告する.症例は74歳の女性で,7年前から左肩関節痛が出現し,近医で保存加療を受けていた.来院時,疼痛が強く,画像所見で骨頭圧潰,臼蓋側の骨欠損を認めた.前医の画像では5カ月間で急速に骨頭圧潰が進行しており,急速破壊型関節症と診断した.著明な関節破壊を認めたが,腱板は保たれていたため,治療は人工肩関節置換術を施行した.肩関節での急速破壊型関節症は稀な疾患であり,高齢女性に多く著明な関節水腫を特徴とする.本症例における病因は骨粗鬆症とoveruseに伴う軟骨下不顕性骨折(subchondral insufficiency fracture)が関与したのではと推察した.

脛骨遠位骨端線早期閉鎖に対しLangenskiöld手術を行った1例―術後10年間の経過追跡

著者: 永井博章 ,   浦田士郎 ,   鈴木和広 ,   田中健司 ,   小口武 ,   稲生秀文 ,   杉浦文昭 ,   中野智則 ,   原龍哉 ,   北村暁子

ページ範囲:P.743 - P.747

 症例は6歳の男児.交通事故で受傷し,左足関節の内反変形を主訴に受診し,左脛骨遠位骨端線離開後の骨端線早期閉鎖を認めた.骨性架橋切除ならびに遊離脂肪移植からなるLangenskiöld手術を行い,術後10年間の経過追跡で良好な結果を確認できた.Langenskiöld手術は自然矯正が期待できる,侵襲の少ない効果的な手術方法である.早期骨端線閉鎖に対する早期手術として,Langenskiöld手術は有用な選択肢であると考えられた.

野球選手に発生した肩甲骨関節窩離断性骨軟骨炎に対して関節鏡視下骨釘移植術を行った1例

著者: 歌島大輔 ,   池上博泰 ,   中道憲明 ,   田邊剛 ,   塩野将平 ,   松村昇 ,   戸山芳昭

ページ範囲:P.749 - P.753

 症例は20歳の男性で,野球部所属の右投げ右打ちの投手である.外傷歴なく右肩関節痛が出現し,当院を受診した.単純X線像で肩甲骨関節窩に不整像を認めた.CTでは肩甲骨関節窩の軟骨下骨に骨透亮像を認め,MRIでは同部の輝度変化を認めた.肩甲骨関節窩離断性骨軟骨炎の診断のもと軟骨下骨の血流の再開通と軟骨はく落防止のため,関節鏡視下に病変部に尺骨近位部から採取した骨釘を挿入した.術後6カ月が経過した現在,投球動作時の関節痛は消失し,投手として活躍している.画像所見上でもMRIにおいて関節窩病変部の修復が認められた.

小児における膝蓋骨剥離骨折の治療経験

著者: 真鍋尚至 ,   王寺享弘 ,   徳永真巳 ,   松田秀策

ページ範囲:P.755 - P.759

 小児に発生する稀な骨折である膝蓋骨の剥離骨折を4例経験した.年齢は10~15歳で,すべて男性であった.いずれも観血的治療を行い,下極骨折の3例はKirschner鋼線(K-wire)や軟鋼線による骨接合術を行い,上極骨折の1例は骨片ごと大腿四頭筋腱を膝蓋骨に縫着した.すべて骨癒合が得られ,可動域も良好であった.膝伸展機構損傷である本骨折は,たとえ転位のわずかな場合でも,観血的治療によって正確な整復と強固な内固定行うべきであり,骨片の大きさや形状に応じて,最も適した内固定方法を選択するのがよいと考える.

頚胸移行部に発生した黄色靱帯内血腫の1例

著者: 熊谷玄太郎 ,   小野睦 ,   沼沢拓也 ,   和田簡一郎 ,   藤哲

ページ範囲:P.761 - P.764

 頚胸椎移行部に発生した黄色靱帯内血腫によって対麻痺を来し,椎弓切除および黄色靱帯および血腫除去術を行った1例を経験した.症例は62歳の男性で,近医で温熱療法中に突然の背部痛を自覚した.高血圧も認めたため,近医に経過観察入院した.翌日から歩行困難が出現したため,3日後に当科を紹介され受診した.徒手筋力テスト(MMT)[2]~[4]と両下肢の筋力低下が進行したため,発症から5日目に当科入院となった.入院翌日から,さらに両下肢麻痺がMMT[1]~[2]と進行した.脊髄造影,頚胸移行部のMRIで急性硬膜外血腫と診断された.同日C7-Th2椎弓切除で黄色靱帯および血腫除去術を行った.術後翌日から両下肢筋力が回復し,術後1年で杖歩行が可能となった.

書評

『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた 第8版』─堀尾重治●著 フリーアクセス

著者: 小寺吉衞

ページ範囲:P.736 - P.736

 本書が第8版と伺って驚くとともに著者堀尾重治氏の不断の努力と研鑽に敬服するばかりである.医用画像機器の進歩発展は著しく,その撮影法や読影法は刻々変化している.その中で,このような書を長く世に送り出すためには並々ならぬ力量が必要であることは言うまでもない.

 本書を見てまず目に付くのは図が大変明瞭でわかりやすいことである.部位ごとに解剖図,撮影法,画像があり,それらの部位で考えられる疾患の画像として単純X線像が,必要であればCT像,MR像が繊細なタッチで描画されている.解剖図も画像も,すべての図が著者の手によって描かれているのが本書の大きな特徴であり,病態のとらえかたが初心者にも理解しやすい.また随所に参考・noteというコラムや表があり,症状の解説や読影のポイントなどが記述されている.

『脊椎腫瘍の手術[DVD付]』─富田勝郎●監修 川原範夫●編 フリーアクセス

著者: 戸山芳昭

ページ範囲:P.753 - P.753

 金沢大学整形外科主任教授をこの3月末に退官された富田勝郎先生が,在任中に取り組んでこられた先生の業績の集大成とも言うべき書「脊椎腫瘍の手術」が医学書院よりこの度発刊された.本書の序文にも書かれているように,この書は正に金沢大学整形外科,富田先生をリーダーとした一門が一つの目的に向かって脊椎腫瘍,特に転移癌と戦ってきた実録であり,手引き書,参考書である.教室の脊椎外科グループと骨腫瘍グループが一体となって基礎から臨床へと進め,実際の手術として世に送り出した術式であり,正真正銘の世界に発信すべき脊椎腫瘍手術書である.従来は全く手がつけられず,対症的治療を余儀なくされてきた転移性脊椎腫瘍,痛みに耐えられずに苦しみ,またまひのために寝たきりとなっていた患者さんへ,金沢大学富田チームが一つの光を差し入れた業績は見事という以外,言葉はない.痛みから解放し,まひも救え,生命予後をも大きく改善させ得る「total en bloc spondylectomy(TES)=腫瘍脊椎骨全摘術」の開発は称賛に値する.思い起こせば十数年前であったか,私がアメリカ整形外科学会(AAOS)に出席した折,確か富田先生の本手術に関する講演が行われていた.その会場の最後列で私もそっと先生の講演を拝聴していたが,講演終了後に満席の会場でいわゆる“standing ovation”により,しばらく拍手が鳴り止まず鳥肌の立つ想いで見ていたことが昨日のように感じられる.私にはその時の素晴らしい光景が今でも鮮明に焼き付いており,自分もいつか先生のように…と感じたことを思い出す.

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あとがき フリーアクセス

著者: 清水克時

ページ範囲:P.770 - P.770

 日本で梅雨が始まるころ,ハンガリー整形外科学会に出席するため,ブダペストとペーチを訪れました.ハンガリーでは5月末に政権交代があり,新政権の首相報道官が,「前政権は財政赤字を過少計上していた」,「経済は深刻で,債務不履行のうわさも誇張ではない」との不用意な発言をしました.この発言により,先刻財政破綻したギリシャ同様,財政赤字のごまかしが行われているとの疑念が市場を揺さぶり,株安やユーロ安が加速しました.その後,ハンガリー中央銀行はこの発言を訂正するような見解を発表し,経済専門家も単純にギリシャとは比較できないと考えているようですが,ハンガリーの財政が苦しい状況にあることは確かです.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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