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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科46巻1号

2011年01月発行

雑誌目次

巻頭言

第84回日本整形外科学会学術総会を開催するにあたって

著者: 戸山芳昭

ページ範囲:P.2 - P.3

 第84回日本整形外科学会学術総会を平成23年(2011年)5月12日(木)~15日(日),パシフィコ横浜で開催します.ご存知のように,横浜は150年前の幕末期に慶應義塾の創始者である福澤諭吉を含む若人たちを乗せた「咸臨丸」が米国サンフランシスコに向けて出港した地(品川)に近く,幕末から明治,そして現在に至るまで一貫して海外に開かれた地として,その役割を担ってきました.近代日本のモデル地区として発展してきた横浜は,グローバル化が進む中,本学術総会を開催するに相応しい場所と考えています.明治維新の偉人たちが動乱期,変革期の中で日本の進むべき道,方向性を忌憚なく議論したように,本学術総会で整形外科の進むべき方向が示されればと期待しています.

 さて,21世紀に入り,わが国は政治・経済とともに医学・医療も大きな曲がり角,変革期にあります.地域医療,小児・産科・救急医療,高齢者医療,病院経営,社医療保険制度などの諸問題,そして医療訴訟の増加,医学研究費削減…等々,日本の医学・医療を取り巻く環境が激変する中,「専門医制度」の構築や,より安全・安心な医療の提供が国民から強く求められています.また,日本の科学論文数・引用数が諸外国に比べて伸び悩んでいる現状があり,医学研究も医療同様に厳しい状況下に置かれています.今こそ,医学・医療,そして整形外科の原点をもう一度見つめ直し,整形外科の役割,進むべき方向,将来展望を討論し,再確認する時期にあると考えています.そこで,今回の学術総会のテーマを「整形外科―原点と挑戦」としました.運動器疾患を扱う整形外科の原点とそこからの挑戦に関連した演題を広く募集し,次世代に繋がる学術集会になるよう企画しました.トピックスとして「translational research」「再生医療」「骨折の最新治療」「スポーツ整形外科」「整形外科の保存治療」「最小侵襲手術」「関節再建術」「高齢者の整形外科」を取り上げています.

論述

手術を必要とした骨粗鬆性椎体圧迫骨折後偽関節例の初期治療と問題点

著者: 武井寛 ,   勝見敬一 ,   小澤浩司 ,   村上秀樹 ,   橋本淳一 ,   和田簡一郎 ,   大谷晃司 ,   鈴木智人 ,   伊藤拓緯 ,   山崎昭義

ページ範囲:P.5 - P.10

 骨粗鬆性椎体骨折後偽関節に対して手術を行った116例の初期治療について調査を行った.ギプスや硬性コルセットは11.2%の症例にのみ行われていた.71.5%の症例で,受傷時に固定なし,あるいは柔らかい固定のみが行われていた.誘因なく,あるいは日常生活動作で発症した群では44.6%の症例で初期の外固定が行われていなかった.偽関節による手術例を低減させるためには,診断法を含め,椎体骨折に対する適切な初期治療体系を確立することが急がれる.

Multiplanar reconstruction(MPR)-CTに基づく至適腰椎椎弓根スクリュー径選択

著者: 牧野孝洋 ,   海渡貴司 ,   藤原啓恭 ,   米延策雄

ページ範囲:P.11 - P.16

 至適腰椎椎弓根スクリュー径決定の指標をmultiplanar reconstruction(MPR)-CTを用いて,冠状断椎弓根横径と椎弓根最短径を比較することで検討した.L1・L2では冠状断椎弓根横径と椎弓根最短径に有意差はなかったが,L3・L4・L5では椎弓根横径より椎弓根最短径は統計学的に有意に小さかった.冠状断椎弓根横径をx,椎弓根最短径(至適椎弓根スクリュー径)をyとすると,回帰式はL1・L2はy=x,L3はy=0.88x,L4はy=0.76x,L5はy=0.58xとして求められた.

高エネルギー外傷における全脊柱CTの有用性に関する前向き調査

著者: 高見正成 ,   納田和博 ,   阪中淳也 ,   中村正亨 ,   吉田宗人

ページ範囲:P.17 - P.23

 初期診療時に高エネルギー外傷における脊椎骨折が見逃されることがある.そのため,われわれは高エネルギー外傷全例に全脊柱CT検査を行ってきた.今回,高エネルギー外傷179例に対し全脊柱CTで発見された脊椎骨折を前向きに調査し,全脊柱CTの有用性を検討した.脊椎骨折は179例中54例(30.2%)に認めた.頚椎骨折16例中6例(37.5%)に,単純X線像では判明せずCTで骨折が判明した.全脊柱CTを撮影していなければ早期発見が困難であった胸腰椎骨折が,全胸腰椎骨折43例中6例(14.0%)存在した.以上の結果から,高エネルギー外傷では全脊柱CTは有用であり行うべき検査であると考えられた.

整形外科EBM

小児および成人に対する前腕両骨骨幹部骨折の外科的治療成績:プレート固定vs.髄内釘―メタアナリシス

著者: 安藤佳幸 ,   安田匡孝 ,   大橋弘嗣

ページ範囲:P.25 - P.31

 メタアナリシスで小児および成人に対する前腕両骨骨幹部骨折のプレート固定と髄内釘の手術成績を比較した.MEDLINEで検索し適格基準に合致した論文からデータを抽出した.95%信頼区間によるオッズ比を用いた.最終的に45論文が適格基準に合致した.小児に対する症例対照研究では有意な差を認めなかった.半定量研究では,小児で合併症(重度)と可動域の項目でプレート固定が劣っており,成人で可動域(高度)と変形治癒の項目で髄内釘が有意に劣っていた.小児には髄内釘,成人にはプレート固定が優れている傾向が示された.

Lecture

整形外科と漢方薬―痛みやしびれに対する漢方治療

著者: 田島康介

ページ範囲:P.33 - P.41

 整形外科における痛みやしびれの愁訴には漢方薬はよい適応がある.しかしながら西洋医学と東洋医学では,その概念は全く異なるため,西洋医にはスムーズに導入しにくい側面がある.東洋医学では「気」と「血」と「水」がそれぞれ体内を循環して生体を維持していると考えている.これらの失調により痛みやしびれが起こると考えられており,気,血,水のバランスを正すことが漢方治療の目的である.本稿では漢方薬に馴染みのない整形外科が,明日から漢方薬も使えることを主旨に,様々な著効例を紹介しながら,東洋医学的な診断法と治療について解説をした.

整形外科/知ってるつもり

半月板の再生医療

著者: 関矢一郎 ,   宗田大

ページ範囲:P.42 - P.45

■はじめに

 半月板損傷に対する治療の第一選択は縫合術であるが,再断裂の可能性があり,必ずしも縫合術が積極的に行われている状況とはなっていない.損傷部の変性が強い場合や,スポーツなどの復帰を急ぐ場合は切除術が選択されているのが現状である.半月板は荷重伝達機能を有し,加齢とともに半月板は軟骨とともに変性磨耗し,変形性膝関節症に至る.

 欧米では同種半月板移植術が行われているが,日本では制度上認められていない.コラーゲンやポリウレタンなどの人工半月板もこれまで使用されているが,良好な長期成績は得られていない.腱を用いて半月板を再建する試みがされており,その有用性と限界が明らかになりつつある.このような状況のなかで,半月板の再生医療の開発が期待されている.

 本欄は,専門家にとっては常識であっても,理解が曖昧な用語やトピックスについて解説するものであるが,現時点で「半月板の再生医療」の常識というものは存在していない.以下の説明は現時点で,「半月板の再生医療」として私たちが理解し,検討してきているものであることをご了承願いたい.

原発性鎖骨下静脈血栓症(Paget-Schroetter症候群)

著者: 佐竹寛史

ページ範囲:P.46 - P.48

■はじめに

 原発性鎖骨下静脈血栓症は主に若年健常者に突発して起こる上肢深部静脈血栓症である.片側上肢の腫張と疼痛を主訴に来診することが多く,スポーツ選手や肉体労働者を診察するうえで知っておかなければならない疾患の1つである.

連載 成長期のスポーツ外傷・障害と落とし穴・3

足部(2)

著者: 山本惠太郎 ,   帖佐悦男

ページ範囲:P.52 - P.55

診断のポイント

 先月同様に足部の障害である.本例の診断のポイントは,まず,問診による詳細な病歴や自覚症状(安静時痛の有無など)の聴取である.次いで,外見上での腫れの有無やアライメント異常(外反母趾や扁平足など)を診て,動作時またはストレッチ時痛などをチェックする.局所の圧痛を調べる場合は,患者の訴えた疼痛部位を最後に回し,丹念に診るべきである.次いで,画像検査として単純X線からエコー,CT,MRIなどで順次診断を進める.

医者も知りたい【医者のはなし】・43

東大医学部の基礎を創った佐賀の医者 伊東玄朴(1800-1871)

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.56 - P.59

■まえがき

 平成20年(2008)5月7日はお玉ヶ池種痘所誕生日であり,東大医学部誕生150周年記念日であった.前回は,お玉ヶ池種痘所誕生とその発展に貢献した旗本の「川路聖謨」とヤマサ醤油の当主「濱口梧陵」のことを書いた.さて,江戸蘭学医83人の署名と皆から設立金を集め,お玉ヶ池種痘所を発足させた中心人物は,佐賀の医者「伊東玄朴」である.

 彼は佐賀の第10代藩主鍋島直正(後の閑叟公)に,恩師シーボルトに習って天保9年(1840)に出版した「牛痘種法論」を,天保14年(1843)に献上し,弘化3年(1846)に欧州から牛痘苗を輸入する「建議書」を藩主に提出した.直正は,長崎在住の佐賀藩医・楢林宗建に連絡して,オランダ商館長に依頼した.佐賀藩は嘉永2年(1849)に輸入した牛痘苗を用いて,牛痘の接種に成功した.その種痘苗が全国に拡がったが,残念なことに天下の江戸だけは,「蘭方禁止令」のために,種痘の普及は20年遅れていた.今回は,その江戸にできた種痘所開設の中心人物である「伊東玄朴」に焦点を当てたい.

臨床経験

前方進入人工股関節置換術における短外旋筋群温存率

著者: 老沼和弘 ,   田巻達也 ,   堂後由佳 ,   金山竜沢 ,   白土英明

ページ範囲:P.61 - P.65

 人工股関節置換術(THA)における前方進入法は,筋温存型の進入法であるが,大腿骨前方移動が不十分な場合,稀に短外旋筋群の切離が必要とされている.今回,前方進入法における短外旋筋群の温存率につき検討した.対象は当院で行った初回の人工股関節置換術(THA)470股である.内閉鎖筋腱の切離が8股,梨状筋腱の切離が4股であり,大腿筋膜張筋の損傷は7股であった.大腿骨前方移動を妨げる組織は後方関節包であり,これを切除するのみで,自験例では457(97.2%)股の症例で,短外旋筋群を切離せずに大腿筋膜張筋を損傷することなくTHAが可能であった.

アスピリン内服中の大腿骨頚部/転子部骨折患者に対する早期手術についての検討

著者: 森本時光 ,   佐々木聡 ,   福田和也 ,   古野雅彦

ページ範囲:P.67 - P.72

 高齢者ではアスピリン(バイエル薬品株式会社製バイアスピリン®錠,エーザイ株式会社製バファリン®81mg錠のいずれか)を内服中の患者が多く,今後さらに増加が予想されるが,アスピリンの術前休薬の必要性については明確ではない.アスピリン内服中(内服群)の大腿骨頚部/転子部骨折患者に対して,入院後6日間以内に手術を施行し,内服していない患者(非内服群)と比較することで,その安全性について検討した.内服群,非内服群間で出血性合併症に差は認めず,アスピリン内服例でも入院後6日以内で手術が可能であると思われた.

症例報告

両側の足関節外果に相次いで発生した小児骨端内骨折の1例

著者: 根本理 ,   川口雅久 ,   安岡宏樹 ,   山元浩治 ,   横部旬哉 ,   請川洋

ページ範囲:P.73 - P.75

 骨端線損傷において骨端内に限局した骨折の報告は少ない.今回われわれは骨端内骨折が両側足関節外果に相次いで発生した稀な1例を経験したので報告する.症例は9歳の女児で,サッカーで遊んでいて右足関節外果骨端内骨折を生じ,その1年後に交通事故により左足関節外果にも骨端内骨折を生じた.本骨折はSalter-Harris分類には相当するものがなく,Ogden分類のtype7に該当すると考えられた.転位が軽度であったために両側とも保存的に加療し臨床経過も良好であったが,単純X線上骨癒合が得られにくいという特徴を有した.

同一馬尾に数珠状に発生した多発性神経鞘腫の1例

著者: 前田隆 ,   渡辺雅彦 ,   佐藤正人 ,   持田讓治

ページ範囲:P.77 - P.81

 62歳の女性で2カ月前からの腰痛と左下肢のしびれを主訴に受診し,MRIで多発性脊髄腫瘍を認めた.脊髄造影,脊髄造影CTにより第12胸椎から第2腰椎高位の多発性脊髄腫瘍の診断で手術を施行した.同一馬尾に数珠状に多発する馬尾腫瘍であり,腫瘍の両端で神経切除とした.病理組織診断はいずれも神経鞘腫であった.神経鞘腫は脊髄腫瘍の中で高頻度に認められる腫瘍であるが,同一馬尾に多発することは稀である.今回われわれは,同一馬尾に数珠状に発生した多発神経鞘腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

前腕開放性骨折後の遷延癒合に対する血管柄付き腓骨頭移植術を施行した1例

著者: 松本健一郎 ,   川上亮一 ,   江尻荘一 ,   高橋洋子 ,   菊地臣一 ,   紺野慎一

ページ範囲:P.83 - P.88

 外傷性前腕開放骨折後の遷延癒合に対して,血管柄付き腓骨頭移植(以下FVFHG)を行った.その結果,手関節機能の再建に成功した1例を経験したので報告する.症例は55歳の男性である.バイクで走行中に転倒して受傷し,当院に搬送された.右前腕開放骨折(AO23-C3,Gustilo Type IIIA)の診断で,受傷当日に創外固定を設置した.受傷5カ月の時点で,遷延癒合と診断した.FVFHGを用いた橈骨関節面の再建を施行した.術後15カ月の時点で,右手関節の可動域は掌屈30°,背屈40°,回内70°,回外40°であり,腓骨頭の骨折や圧壊も認めていない.

前十字靱帯再建術時のガーゼ遺残による膝部異物肉芽腫の1例

著者: 神山圭史 ,   兵藤伊久夫 ,   杉浦英志 ,   山田健志

ページ範囲:P.89 - P.92

 膝関節前十字靱帯再建術後のガーゼ遺残により発生した異物肉芽腫を経験した.症例は61歳の女性で,右膝関節外側から膝窩部の腫瘤を主訴に当院を受診した.20年前に腸脛靱帯を用いた右膝関節前十字靱帯再建術を受けていた.針生検で採取した組織では慢性炎症を示す所見が得られたため,既往の手術に関する反応性病変を疑った.全摘出術を施行したところ,腫瘤内から遺残ガーゼが見出され,組織学的にも異物肉芽腫であることが確認された.膝関節以遠部位での発生,前十字靱帯再建術後,いずれも異物肉芽腫としては非常に稀な症例である.

INFORMATION

第14回超音波骨折治療研究会 フリーアクセス

ページ範囲:P.16 - P.16

会期:2011(平成23)年1月22日(土)

受付:12時開始/開会:13時~終了:17時予定

会場:東京ステーションコンファレンス

サピアタワー5F 501号室(東京駅八重洲北口直結)

〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目7-12 TEL:03-6888-8080

第50回乳児股関節エコーセミナー フリーアクセス

ページ範囲:P.23 - P.23

期日:2011年(平成23年)2月28日(月),3月1日(火)

主催:日本整形外科超音波研究会,教育研修委員会

会場:新潟県はまぐみ小児療育センター(〒951-8121 新潟市中央区水道町1-5932)

運動器疾患の臨床研究 寺子屋セミナー(LOCOMO C3)(Core Competency in Clinical research in Locomotive Disorders)受講者募集 フリーアクセス

ページ範囲:P.31 - P.31

日時:2011年2月5日(土)13時開始~6日(日)15時終了

場所:京都大学 百周年時計台記念館 〔〒606-8501 京都市左京区吉田本町〕

第23回日本運動器リハビリテーション学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.45 - P.45

会期:2011年7月9日(土)

7月8日(金)サテライトイブニングセミナー

会場:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟市中央区万代島6-1)

第34回整形外科エコーセミナー(入門コース) フリーアクセス

ページ範囲:P.65 - P.65

期日:2011年3月13日(日),午前9時~午後5時頃

主催:日本整形外科超音波研究会,教育研修委員会

会場:大正 富山製薬本社〔〒170-8633 東京都豊島区高田3-24-1〕

第13回札幌スポーツ医学セミナー フリーアクセス

ページ範囲:P.72 - P.72

日時:2011年(平成23年)2月26日(土) 午後3時~午後7時30分

場所:ヒルトンニセコビレッジ〔〒048-1592 北海道虻田郡ニセコ町東山温泉〕

TEL:0136-44-1111,FAX:0136-44-3224

第41回日本人工関節学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.81 - P.81

会期:2011年(平成23年)2月25日(金)~26日(土)

会場:グランドプリンスホテル赤坂(東京都千代田区紀尾井町1-2)

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.95 - P.95

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.96 - P.96

文献の書き方 フリーアクセス

ページ範囲:P.97 - P.97

あとがき フリーアクセス

著者: 清水克時

ページ範囲:P.98 - P.98

 クリスマス前のロンドンで,国際疾病分類第11版(ICD-11)筋骨格系の会議があり,ヒースローからヘルシンキ経由で,名古屋に帰る予定にしていました.ところが,朝ヒースロー空港に着いてみると,深い霧のために,飛行機が着陸できず,わたしの便を含めていくつかの出発便の飛行機が到着していないことがわかりました.受付カウンターの話では,遅れた便に乗り,ヘルシンキまで行って,次の指示を聞いてほしいとのことでした.ヒースロー空港で,出発便の案内を待ちながら,結局5時間待つことになりました.おまけに,泣きっ面に蜂,この日は待合室の暖房が故障していて,コートにくるまり,毛布をかぶって震えながら待ちました.ヘルシンキ行きの飛行機は予定より3時間遅れて,この日の午後に出発しましたが,乗り継ぎの名古屋行きの飛行機は私たちがヘルシンキに着陸する直前に出発した模様です.機内でアテンダントに尋ねると,ヘルシンキ空港のtransfer serviceという窓口に行ってくれとのことでした.このような経験はこれまで3回あって,前回に比べると,今回は割合軽いインシデントでした.心に余裕を持って,今回は航空会社のリスク管理のやり方をしっかり観察してやろうと,自分に言い聞かせました.

 ヘルシンキ空港のtransfer serviceの窓口で提示された代替案は,空港で夜中まで6時間待って,香港行きの便に乗る.香港で1時間待って名古屋行きの便にのれば,その日の夜には名古屋に到着できるというものでした.その後,ヘルシンキ―香港―名古屋の行程は問題なくスムーズに移動でき,当初の予定から12時間の遅れで,家に帰りつきました.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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