臨床整形外科46巻1号

2011年01月発行

症例報告

同一馬尾に数珠状に発生した多発性神経鞘腫の1例

著者： 前田隆¹ 渡辺雅彦¹ 佐藤正人¹ 持田讓治¹

所属機関： ¹東海大学医学部整形外科

ページ範囲：P.77 - P.81

　62歳の女性で2カ月前からの腰痛と左下肢のしびれを主訴に受診し，MRIで多発性脊髄腫瘍を認めた．脊髄造影，脊髄造影CTにより第12胸椎から第2腰椎高位の多発性脊髄腫瘍の診断で手術を施行した．同一馬尾に数珠状に多発する馬尾腫瘍であり，腫瘍の両端で神経切除とした．病理組織診断はいずれも神経鞘腫であった．神経鞘腫は脊髄腫瘍の中で高頻度に認められる腫瘍であるが，同一馬尾に多発することは稀である．今回われわれは，同一馬尾に数珠状に発生した多発神経鞘腫の1例を経験したので，若干の文献的考察を加え報告する．

参考文献

1) 張　禎浩，吉田裕俊，川崎修平・他：左L1神経に発生した多発性馬尾神経鞘腫の1例．臨整外32：1417-1420，1997

2) 久野成人，岩井宏次：馬尾部同一神経根に生じた多発性神経鞘腫の1例．臨整外31：99-101，1996

3) Kim P, Ebersold MJ, Onofrio BM, et al:Surgery of spinal nerve schwannoma. J Neurosurg 71:810-814, 1989

4) 小谷俊明，三枝　修，斎藤正仁・他：単一馬尾に発生した多発性神経鞘腫の1例．関東整災誌31：302-306，2000

5) 倉石譲治，安川幸廣，瀧澤　勉・他：1本の馬尾神経より発生した多発神経鞘腫の1例．整形外科53：788-792，2002

6) 詫摩博信，西川英樹，落合　勲・他：多発性神経鞘腫の一剖検例．臨整外5：646-652，1970