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連載 医者も知りたい【医者のはなし】・48
江戸中期の医師(3) 香川修庵(1683~1755)(その1)
著者: 木村專太郎1
所属機関: 1木村専太郎クリニック
ページ範囲:P.1028 - P.1030
文献購入ページに移動第46回で「古方派」の医学の祖の1人である後藤艮山を述べ,第47回で艮山の弟子である香川修庵の儒学の師伊藤仁斎について述べた.今回第48回は,やっと本命の香川修庵について述べる.
香川修庵は,後世に有名になった吉益東洞と山脇東洋の先輩にあたり,修庵なくしてこの2人の存在はなかったであろうと思われる.修庵は,儒学で伊藤仁斎に,医学では後藤艮山に強い影響を受け,儒学と医学の基本の精神が同じであって,特に“仁”の心で「一本」に結ばれているとの信念から,号を「一本堂」と称し,自分の学問所に「一本堂」と名付けている.この修庵は,艮山の下で医学を研鑽し,書を残さなかった艮山の医学の考えを後世に伝え,さらに勉強した教えや考えを吉益東洞と山脇東洋たちに伝えた.そして,京都の吉益東洞と山脇東洋たちの学習塾を巣立った多くの医師たちが全国で活躍して,古方派医学が江戸の医学の一大勢力へと発展していった.このように,香川修庵とその師・後藤艮山は,日本医学史上における重要人物であると考えられている.
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