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形成外科的縫合法
著者: 多久嶋亮彦1
所属機関: 1杏林大学医学部形成外科
ページ範囲:P.1134 - P.1137
文献購入ページに移動皮膚縫合の目的は,外傷や手術目的に切開された皮膚の一次治癒をできるだけ早期に獲得することにある.整形外科領域でインプラントなど人工物を使用する場合には,手術部位感染(surgical site infection,以下,SSIと略す)は手術そのものの成否に大きく関わる重大な合併症の一つであるが,創閉鎖における縫合法だけでなく,縫合に用いる材料の選択も,SSIを予防するうえで重要な要素となる.また,整容的に優れた結果が求められる昨今,手術創をできるだけ目立たないようにするためには,真皮縫合を中心とした縫合技術にも気を配る必要がある.
形成外科的な縫合方法はこれらの条件を満たすものであり,あらゆる局面で活用することはできる.しかし,縫合それ自体が目的であることが多い形成外科とは違い,外科,婦人科,整形外科などにおいては,創閉鎖は手術全体における最終局面にしか過ぎず,縫合(特に真皮縫合)に要する手術時間の延長がSSIを惹起することを危惧するためか,知ってはいてもなかなか現場に取り入られないというのが現状と思われる.確かに,人工関節手術においてきれいな傷跡を目指して,時間をかけて真皮縫合を行えば,結果的にはSSIの可能性を増加させることになりかねない.しかし,形成外科的ではないにしろ,ある程度ラフな真皮縫合でも,創の一次治癒を促進し,結果的にはSSIを減少させることにつながると思われる.本稿ではまず,形成外科的縫合法を述べた後,それを元にした,膝,臀部,背部における主な整形外科手術部位での筆者の考える最適な皮膚縫合法に関して述べる.
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