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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科46巻12号

2011年12月発行

文献概要

症例報告

反対側にのみ下肢症状を呈した腰椎椎間板ヘルニアの2例

著者: 古高慎司1 萩山吉孝1 河田典久1 宮本礼人1 加藤智弘1 川西啓生1

所属機関: 1松山市民病院整形外科

ページ範囲:P.1169 - P.1169

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 症例1は50歳の男性で,主訴は右大腿前面痛と右下肢筋力低下であったが,MRIでは左L1/2椎間板ヘルニアを認めた.術中所見では,ヘルニアによる硬膜管の右後方への圧排と右L2神経根の周辺組織との癒着を認めた.術後,症状は軽快した.

 症例2は55歳の男性で,主訴は左大腿前面疼痛であったが,MRIでは右L2/3椎間板ヘルニアを認めた.保存的治療で症状は軽快した.

 本症例では症状側の神経根に癒着を認めたことから,神経根にfriction neuritisが存在したと考えられた.このことから本病態は,神経根のfriction neuritisにより易刺激性が高まり,反対側からの軽度な圧迫でも症状が出現したと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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