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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科46巻3号

2011年03月発行

雑誌目次

視座

「足腰丈夫で“にこにこ百歳!”」めざす,若返りプロジェクトのキーは?

著者: 富田勝郎

ページ範囲:P.193 - P.194

 日本という国の約束事により昨年,実年齢の満65歳となり教授職を退職しました.といっても体力,気力ともまだまだ元気あるつもりのせいか「めでたくもあり,めでたくもなし…」という気分です.引き続き大学病院の病院長の立場にいますが,教授職を退いたことで以前より3割だけ心身が軽くなったような気分でしょうか.なにしろ長年,診察・手術・学会を中心に頑張ってきた頭の中はそう簡単に状況変化に順応してはくれません.これまで退職された先生方が異口同音に「診察・学会こそが楽しみ」と言われていた気持ちが今はよくわかります.私もそのような機会を大切にしていますが,それはそれとして,第一線を退いた整形外科医としてふさわしい目標を立てようと考えました.その結果が上記タイトルのテーマです.本誌の編集室から「日頃感じたことを自由,気楽にお書きください」とあるのに甘えて,このテーマに辿り着いた思考経路を説明させていただきますと….

 

 そもそも健康長寿は有史以来,万人の願いだ.戦国武士時代の“人間わずか50年”は遠い昔話としても,かつて100歳を迎えた“きんさん・ぎんさん”が物珍しくて日本のビッグニュースとなったのは18年前,もう二昔も前の話だ.二人とも何の憂いもなさそうなにこにこ顔だったのが印象的だ.それが今や平均寿命85歳前後の時代.先日の厚労省の調査では,今年の100歳以上の高齢者は全国で過去最多の44,449人と急増しているという.そういえばわが大学病院にも100歳で入院手術を受けた人がいた.地方の病院では100歳の骨折手術もそうめずらしくはなくなってきているらしい….

論述

高分子量ヒアルロン酸溶液(HA)における架橋型HAと天然型HAの粘弾性特性

著者: 日垣秀彦 ,   下戸健 ,   白石善孝 ,   石川篤 ,   三浦裕正 ,   岩本幸英

ページ範囲:P.195 - P.200

 臨床応用が検討されている架橋型ヒアルロン酸(HA)と国内で臨床応用されている天然型HAを対象に動的粘弾性測定を行い,関節潤滑への効果の検討を目的とした.粘度・粘弾性測定装置を用いて,角周波数を変化させながら測定を行い,粘弾性特性を評価した.関節摺動面間のような往復動すべり運動を考慮した動的粘性率の結果では,天然型高分子量HA溶液が効果的であることが確認された.生体関節のせん断速度のような潤滑作動条件を考慮した場合,架橋型HAよりも分子量が小さい天然型高分子量HA溶液のほうが粘弾性についての優位性が確認された.

調査報告

骨折リスク評価ツール(FRAX®)と現行の治療ガイドラインによる治療介入対象の違い

著者: 金谷幸一 ,   加藤義治 ,   島本周治 ,   和田啓義 ,   石井千春

ページ範囲:P.201 - P.205

 骨粗鬆症治療を開始するにあたり,fracture risk assessment tool(FRAX®)のみあるいは現行の治療ガイドラインにFRAX®を組み入れた際に対象がどのように変わるかを検討した.自記式のアンケートを作成し回答を得た253例を対象にbody mass index単独で骨粗鬆症性骨折リスクを算出した.FRAX®による骨折リスクは高齢者で高く,若年者で低く評価することが示唆された.60歳未満に対しては骨折リスク15%では治療が必要な人を見逃す恐れがある.問診だけでは形態骨折を見逃す可能性が示唆され,FRAX®を利用する際にも椎体骨折有無の確認が重要である.ステロイド使用者では骨密度や投与量も評価すべきである.

Lecture

腰椎椎間板ヘルニアの原因遺伝子解析:一塩基多型を用いた大規模症例・対照相関解析

著者: 千葉一裕

ページ範囲:P.207 - P.212

 腰椎椎間板ヘルニアを含めたcommon diseaseの発症には環境因子と遺伝因子の双方が関与するため,原因遺伝子の同定は容易ではない.こうした多因子遺伝病と言える疾患に対しては,一塩基多型を遺伝子マーカーとして用いる症例・対照相関解析という手法が有効であることが明らかとなり,数多くの原因遺伝子が報告されてきた.しかし,従来の研究には 1)疾患の定義が曖昧である,2)十分なサンプル数が確保されていない,3)特定された遺伝子の役割が不明,などの問題があり,その再現性に疑問があった.われわれはこうした疑問を払拭すべく,腰椎椎間板ヘルニアを明確に定義し,症例ならびに対照者ともに十分な数のサンプルを収集し,さらに特定された遺伝子多型の機能を解析し,疾患発症におけるその原因遺伝子の役割を明らかとしてきた.本稿ではわれわれの使用した解析手法ならびにその結果と臨床的意義につき概説する.

最新基礎科学/知っておきたい

メタボローム解析―唾液から癌の診断

著者: 杉本昌弘

ページ範囲:P.214 - P.218

■メタボロームとは?

 ポストゲノム時代,様々なオミックス技術を組み合わせて生体内の構成要素の情報を集め,その要素間の相互作用から,生体内で起きている現象を包括的に解明しようとするシステムバイオロジーが盛んに行われるようになってきた.このようなアプローチは,大量の情報をハイパフォーマンスなコンピュータを用いて処理するバイオインフォマティクス技術と,細胞内の様々な分子群を網羅的に測定する技術との融合により,実現化されてきた.このような測定技術には,ゲノミクスに加え,遺伝子の発現状況やRNA分子全体の挙動を把握するトランスクリプトーム,タンパク質を網羅的に測定するプロテオームなどがある.さらに,近年の質量分析装置を中心とした高感度な測定技術の発展により,タンパク質を構成するアミノ酸のような低分子の網羅的測定も可能となってきた.厳密にどの範囲という定義はないが,1,000Da以下程度のこのような低分子である代謝物(メタボライト)の総称をメタボロームと呼ぶ.本項では,これらを網羅的に測定して解析するメタボローム測定技術の紹介と,本技術を唾液診断に応用した研究例を紹介する.

連載 成長期のスポーツ外傷・障害と落とし穴・5

手関節

著者: 山口奈美 ,   帖佐悦男

ページ範囲:P.219 - P.223

診断のポイント

1) 明らかな外傷歴なし,手を酷使するスポーツ選手

2) 手関節の運動時痛,月状骨部の圧痛

3) 手関節の可動域制限(掌背屈制限),握力低下

4) X線像で月状骨に限局した硬化像・圧壊扁平像

医者も知りたい【医者のはなし】・44

日本最初の女体解剖を行った萩藩医 栗山孝庵献臣(1728-1791)

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.224 - P.227

■まえがき

 宝暦4年(1754)2月に京都で日本最初の人体解剖を観たのは,山脇東洋(1706~1762,図1)である.彼はカワウソの解剖を行い,中国から伝わっていた陰陽五行説に基づく五臓六腑の体の内景に疑問を抱いていて,人体解剖の機会を待っていた.チャンス到来,東洋は京都所司代の許可の下,六角獄舎で行われた刑屍体の観臓(解剖)に立ち会った.そして,彼はその観臓記録を「蔵志」(これは「臓志」ではない)として,宝暦9年(1759)に発表した.東洋による観臓は,当時の医学の世界に賛否両論の波紋を投じた.しかし病をよく知り,人間の体内を正しく理解するには,動物でなく人間の解剖という実験が必要であるということが一般に認められたようである.この観臓とその記録は,後の江戸の医師・杉田玄白や前野良沢に影響を与え,17年後の明和8年(1771)3月4日の江戸千住の骨ヶ原(現小塚原)での観臓となり,安永3年(1774)の有名な「解体新書」の発刊のきっかけになっている.オランダの解剖書が人体の実際と合致しており,すぐれていることが確かめられたために,後年のオランダ医学(蘭方医学)の導入の契機になっている.この蘭方医学に対して,従来からあった中国由来であるが,日本で独自に発展した儒医学は「漢方医学」と呼ばれるようになった.

臨床経験

後方進入腰椎椎体間固定術を安全に行うための手法:椎間関節全切除―従来法との合併症比較

著者: 三輪俊格 ,   細野昇 ,   向井克容 ,   海渡貴司 ,   武中章太 ,   冨士武史

ページ範囲:P.229 - P.234

 背景:後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)において椎間関節を全切除すると外側の操作空間を広く取ることができ,神経根の術中牽引も少なくできる.

 方法:この手法により周術期神経合併症が減少したかどうかを検討した.

 結果:46例の変性すべり症において全合併症は11例(24%),神経合併症は9例(20%)であった.重度の筋力低下例や麻痺が後遺した症例はなくすべて一過性であった.

 まとめ:椎間関節を部分的に残して行っていた以前のPLIFと比較すると神経合併症は少なく,椎間関節全切除は特別な器具を必要とせずに神経合併症を減らす有用な方法であることが示唆された.

弾性線維腫の診断・治療の進め方―14症例の経験から

著者: 請川円 ,   松本誠一 ,   下地尚 ,   谷澤泰介 ,   新井秀希 ,   宮武和正 ,   古田則行

ページ範囲:P.235 - P.239

 1995年から2008年の間に経験した14例の弾性線維腫について報告する.男性5名,女性9名で平均65.2歳,全例肩甲骨下に発生しており,片側11例,両側3例であった.全例に組織診断を行い,有症状の6例に手術を施行した.通常の細胞診検査やHE染色では弾性線維を見逃す危険があるので,臨床所見から本症を疑うことを組織診断医に伝達し,弾性線維を証明することが重要である.

変形性膝関節症患者に対するベルト型サポーターの装着―緊張度と治療効果の検討

著者: 戸田佳孝 ,   月村規子 ,   槻浩司

ページ範囲:P.243 - P.248

 変形性膝関節症(膝OA)に対するベルト型サポーターはきつく巻いたほうが効果的か緩く巻いたほうが効果的であるかを検討した.51例の膝OA患者を無作為に大腿および下腿周囲径の75%の長さでサポーターを巻く群(75%長群),85%で巻く群(85%長群)と患者の好みの長さで巻く群(自由群)に分類し,Lequesne重症度指数の治療前後での変化を評価した.その結果,75%長群では治療前後での有意差があったが,85%長群や自由群では有意差はなかった.サポーターの作用機序の一つは固有知覚の改善であるため,75%長群が優れていた可能性があると考察した.

症例報告

人工関節置換術後にフォンダパリヌクスナトリウムを投与した症例に発症した急性肺塞栓症の経験

著者: 田中一範 ,   加畑多文 ,   中村琢哉 ,   前田亨 ,   吉田弘範 ,   楫野良知 ,   土屋弘行

ページ範囲:P.249 - P.253

 人工関節置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)の発症予防の1つとして,フォンダパリヌクスナトリウム(FPX)の皮下注射が有用とされている.しかし,われわれは同薬を投与したにもかかわらず,人工関節置換術後に深部静脈血栓症から症候性急性肺塞栓症を発症した2例を経験した.両症例とも,FPXは投与したものの各々その効果が及ばない時期にVTEが発生したと考えられた.FPXなどの抗凝固薬を投与したからといってVTEの発生を完全に予防しきるとはいえず,VTEの至適予防期間やその予防方法については今後さらなる検討が必要と考えた.

椎間孔狭窄症を発症した腰仙部神経根奇形の1例

著者: 山下彰久 ,   白澤建藏 ,   城戸秀彦 ,   原田岳 ,   渡邊哲也 ,   平田正伸 ,   烏山和宏

ページ範囲:P.255 - P.260

 腰仙部神経根障害の病態において神経根奇形が関与することがある.われわれは椎間孔狭窄を発症した神経根奇形の1例を経験したので報告する.症例は33歳の女性で,主訴は右下肢痛であった.精査の結果,神経根奇形(conjoined nerve root)に併発したL5/S1椎間孔狭窄症の診断に至った.保存治療に抵抗性で進行性の筋力低下を認めたため手術治療を行った.L5片側骨形成的椎弓切除術および椎間関節部分切除術,黄色靱帯切除による奇形神経根の椎間孔除圧により症状,筋力低下いずれも改善し良好な成績が得られた.

腰動脈損傷を伴った腰椎損傷の1例

著者: 畠山雄二 ,   千馬誠悦 ,   小林志 ,   田中雄一 ,   横山直弘 ,   鈴木敏文 ,   大門葉子

ページ範囲:P.261 - P.264

 症例は屋根から転落して受傷した67歳の女性で,初診時,vital signは安定していたが腰痛と右下腹部痛を認めた.腰椎単純X線像でL3椎体前方の骨折像と右腰筋陰影の膨隆を呈し,腹部造影CTでは血管外漏出像と血腫による後腹膜腔の腫大を示していた.徐々に血圧が低下したため,血管造影を行い右第4腰動脈の塞栓術を施行した.一時,血圧は安定したが,再出血のため死亡した.腰動脈損傷は腰椎脱臼骨折や多発性の横突起骨折に合併することが多いが,自験例のように軽微な腰椎損傷でも,止血困難な腰動脈損傷を呈することがあり注意を要する.

膝前十字靱帯修復術後16年経過し発生した膝関節血症

著者: 峯孝友 ,   伊原公一郎 ,   河村洋行 ,   瀬戸隆之

ページ範囲:P.265 - P.268

 膝前十字靱帯(ACL)修復術後において,再度外傷がない限り,膝関節血腫が出現することは少ない.症例は41歳の女性で膝前十字靱帯再建術後16年経過した後から,何ら誘因なく膝関節血症が出現した.その原因は,ACL再建に使用したpull-outされていたナイロン糸の幾重にも結紮していた先端の鋭になった部分が,上下に動くことによる滑膜への刺激であった.関節内に鋭的な異物が突出する場合は,術後に長期間経過した後であっても膝関節血症を呈することがあるため,手術の際は関節内に鋭的な異物を突出させないようにする必要がある.

思春期側弯症腰椎カーブに足底挿板療法を用い,側弯の改善をみた1例

著者: 清水新悟 ,   神谷光広 ,   前田健博 ,   川本高基

ページ範囲:P.269 - P.273

 骨盤傾斜および扁平足を伴っている思春期側弯症に対し,足底挿板療法による治療を経験したので報告する.足底挿板療法の即時効果として内側縦アーチの左右差が減少し,足底挿板装着前Cobb角が29°であったが,足底挿板装着4週間後に14°,6カ月後には10°に改善した.また骨盤傾斜をみるpelvic coronal reference line(PCRL)は足底挿板装着前が6°であったが,足底挿板4週間後に4°と改善し,6カ月後には3°に改善した.足部から腰部への運動連鎖を考慮して治療を行うことで側弯症の改善が得られる可能性が示唆された.

脊髄症を呈する頚椎椎間板ヘルニアに対して内視鏡下頚椎後方除圧術を行った2例

著者: 曽根勝真弓 ,   中川幸洋 ,   吉田宗人 ,   山田宏 ,   橋爪洋 ,   南出晃人 ,   木岡雅彦

ページ範囲:P.275 - P.279

 頚髄症を呈する正中型の頚椎椎間板ヘルニア(CDH)に対して内視鏡下頚椎後方除圧術(CMEL)を行い,症状の速やかな改善を認めた2例を経験した.また本症例はともに術後経過中,ヘルニアの吸収を認めた.CDHの自然消退に関しては広く認識され,軽症例では保存療法も試みられるが,重症例では前方除圧固定術や椎弓形成術が適応されることが多い.しかし今回の結果から,頚髄症を呈するCDHに対する低侵襲治療の選択肢の1つとして,CMELを挙げることができると考えられた.

書評

『整形外科SSI対策―周術期感染管理の実際』 フリーアクセス

著者: 内藤正俊

ページ範囲:P.218 - P.218

 冒頭から卑近な例で申し訳ないが,筆者には2008年10月から院内感染に悩まされ,2009年1月下旬には病院の管理者としてマスコミを通じて世間に謝罪した苦い経験がある.外国旅行中に危篤となって当院救命救急センターへ搬送された患者に感染していた多剤耐性アシネトバクターを,救命救急センターの22名と某外科系病棟4名の合計26名の患者に感染させるという不祥事であった.感染を伝播させたと考えられたのは救命救急センターの呼吸器系機材と某外科病棟での創処置であった.院内感染が鎮静化するまで手洗い・消毒や清潔な創処置についての度重なる職員教育などを行い,救命救急センターと某外科系病棟への新規入院患者の受け入れを中止し,某外科による手術も禁止した.いったん院内感染が起こるとその制御がいかに困難であるかを体験した.また外科系の一員として患者だけでなく施設全体に重大なダメージを与えうる手術部位感染(surgical site infection:SSI)に関する包括的な知識を身につける必要性を痛感した.

 待望の整形外科領域での極めつけの専門書,『整形外科SSI対策―周術期感染管理の実際』が発行された.総勢90名を越える専門家による労作であり,わが国の整形外科学の泰斗である菊地臣一福島県立医科大学理事長兼学長とSSIに関する第一人者である楠正人三重大学教授により,臨床現場ですぐに役立つよう実践的に編集されている.Ⅰ章では周術期感染対策について概説されている.感染を起こさないための術前のSSI対策や実際的な手術時の手洗い・手袋・ドレープ・ガウンの仕方などがわかりやすく解説されている.Ⅱ章では整形外科領域での横断的な周術期感染対策の基本を,手術・手技別および特殊な問題をもつ患者について記載されている.さらに現在広く行われている貸し出し器械についても述べられている.Ⅲ章では整形外科医が知っておくべき感染発症時の実践的な対応を部位別の具体的な手術に即応して教示されている.またSSIに関して手術室や病棟でよく議論になる事柄がQ&Aに簡潔にまとめられ,要所では実際に治療に難渋した症例を「症例で学ぶ」として追加されている.診断・治療のポイントや実際にどう対応したかなどが簡素でしかも手に取るように示されている.

INFORMATION

第19回よこはまスポーツ整形外科フォーラム フリーアクセス

ページ範囲:P.223 - P.223

会期:2011年6月12日(日)

場所:パシフィコ横浜

〒220-0012 横浜市西区みなとみらい1-1-1

TEL:045-221-2155

第37回日本整形外科スポーツ医学会学術集会 フリーアクセス

ページ範囲:P.234 - P.234

会   期:2011年9月23日(金)・24日(土)

会   場:福岡国際会議場(〒812-0032 福岡市博多区石城町2-1)

TEL:092-262-4111

第23回日本運動器リハビリテーション学会(2011年4月1日 日本運動器科学会に改名) フリーアクセス

ページ範囲:P.239 - P.239

会期:2011年7月9日(土)(※7月8日(金)18:00よりサテライトイブニングセミナー開催)

会場:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟市中央区万代島6-1)

第25回日本靴医学会学術集会 フリーアクセス

ページ範囲:P.248 - P.248

会期:2011年(平成23年)9月19日(月)~9月20日(火)

会場:奈良県新公会堂

第109回東北整形災害外科学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.268 - P.268

会期:平成23年5月27日(金)・28日(土)

会場:マリオス(〒020-0045 盛岡市盛岡駅西通二丁目9番1号)

第12回肺高血圧症治療研究会 フリーアクセス

ページ範囲:P.279 - P.279

日時:2011年6月4日(土) 13:00~19:00

場所:経団連会館4階 402号室 ダイアモンドルーム「南」(東京都千代田区大手町1-3-2 TEL:03-6741-0222)

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.281 - P.281

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.282 - P.282

文献の書き方 フリーアクセス

ページ範囲:P.283 - P.283

あとがき フリーアクセス

著者: 戸山芳昭

ページ範囲:P.284 - P.284

 国会では平成23年度予算案審議が始まった.本号が発刊する頃には一応決着しているものと思われるが,予算関連法案の成立は不透明である.国は税収より大きな国債を発行して戦後最大規模の予算案により景気回復を図ろうとしている.しかし,来年度末には国の負債総額が何と997兆円まで膨らむと予想されている.これは国民一人当たり783万円の借金に相当する.そのほとんどは国債であろうが,日本の長期国債格付けがAAからAAマイナスへと1ランク格下げされた.タンス預金を含め貯蓄大国である日本の総資産は1200兆円程度?と言われているが,間もなく借金が上回る時期がやって来る.今は国債の95%を国内で保有しているが,これが買え支えられなくなった時こそ「財政破綻―日本経済の終焉」である.イギリスでも国民の反対は強いが政治主導で本格的財政再建に取り組み始めている.国のGDPも中国に抜かれ世界第3位へ,そして一人当たりのGDPも2000年時3位から2008年には23位へと急下降している.国際競争力も1990年時1位から2010年には27位に,そして電化製品も液晶パネル世界シェア1995年時100%が2005年には10%まで下落している.こんな状況下にある日本の今後は…,簡単に消費税率引き上げだけでは済まないだろう.この景気低迷,財政難に加えて,人口動態では世界に類を見ない超高齢,少子高齢化が進んでいる.現在の高齢者比率は23%を超え,75歳以上も11.3%と東京都の人口と同じである.2050年にはそれぞれ40%,27%という数値が示されている.これにより,高齢者一人を支える働き手は現在の3人から1.2人と,マンツーマンで支える時代を迎えるのである.そして,今世紀末にも日本の総人口は半減するそうである.何とも辛い数値である.その上,鳥インフルエンザや口蹄疫問題,霧島新燃岳の爆発的噴火,昨夏の猛暑とそれから予想される大規模スギ花粉発生や今冬の大雪などの環境問題,加えて核やテロの脅威と北朝鮮・中国などとの国際問題,…等々,国民が内向き思考になるのも無理はない.

 医療に目を向けても,世界に誇れる国民皆保険制度や年金制度も財政面で大きな危機を迎えている.高齢者医療をどうするのか,そして医師不足,地域医療・救急医療の崩壊,厚労省からは看護師も5万6千人不足と報じられている.日本の総医療費は現在約35兆円弱,これに介護保険が8兆円弱とされている.消費税率1%の引き上げで2~2.5兆円の増収が見込まれるが,すべて医療費だけに投入することもできない.さて,本当にどうする! 長寿国日本の医療を….

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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