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医師育成論を考える
著者: 波呂浩孝1
所属機関: 1山梨大学大学院医学工学総合研究部整形外科学講座
ページ範囲:P.589 - P.590
文献購入ページに移動2011年が明け,日本医師会は医学部教育と医師養成案を提言しました.これによると,医学部1~4年次には一般ではなく医学教養として医師としての資質に沿う教養課程を実施し,1年次から積極的に臨床医学の履修を進め,介護や福祉との連携を含んだ演習,見学実習,ボランティア活動を取り入れる.4年修了時にはCBT(computer based testing:コンピュータを使用した知識試験),OSCE(objective structured clinical examination:客観的臨床能力試験),臨床実習資格試験(面接試験)を行って,すべて合格したものに臨床実習免許を授与する.5~6年次には学生が参加できる臨床実習とし,卒業試験や医師国家試験には臨床実習の成果を問う問題に絞りこんで試験の負担を軽減する.卒後は,原則出身大学の都道府県で研修を行い,地域で8年かけて新人医師を育成する.初期臨床研修制度では1年次にはプライマリケアの獲得,2年次には専門としたい診療科のプライマリケアを中心に研修する.初期研修修了者は一般臨床医として認定する,という案です.この案が実現すれば,医師が地域に根付いて医師偏在解消の糸口となり,若手医師が地域に根差し医療を担ってくれることを目論んでいます.ベテラン弁護士の先生と話をする機会があり,その中で職業の自由という権利が新人医師を地域にとどめさせることができない壁の一つではないかとお聞きしたことがあります.先生は職業の自由というのはその前に公益に反しない限りという前提があるとおっしゃられました.
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