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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科46巻7号

2011年07月発行

文献概要

最新基礎科学/知っておきたい

関節の運動学解析法―ポイントクラスタ法

著者: 桐山善守1 名倉武雄1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部運動器生体工学寄附講座

ページ範囲:P.610 - P.614

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■はじめに

 ヒトを対象とするバイオメカニクス領域において,姿勢や関節運動の計測はできるだけ侵襲や拘束を少なくし,自然な状態でかつ精密に計測できることが望ましい.整形外科領域では,関節運動の計測は健常・異常な運動の評価,関節疾患の病態評価に利用される.一般的に,反射マーカと光学式カメラを用いた計測システムにおいて,反射マーカは解剖学的特徴点に貼付されることが多い.しかし身体表面に貼付した反射マーカは,動作時における皮膚や脂肪の変形,筋肉の膨隆によって静止時に貼付した位置にはなく,若干の微動が生じる.これはスキンモーションエラーと呼ばれ,ヒトの粗大な運動を対象とする場合には大きな問題とはならない.しかしながら,生体内の骨の運動や関節の詳細な動態を取得するには,このようなエラーは精密な計測に対する累積誤差として影響することになり,計測精度の低下を引き起こす.

 このような問題に対して,Andriacchiら1)は皮膚マーカによるスキンモーションエラーから生じる誤差を補正し,詳細な関節運動を取得できるポイントクラスタ法を提案した.Andriacchiらは主に膝関節を対象としていたが,その原理は必ずしも膝関節にのみ特化したものではなく,他の関節にも利用可能である.こうした応用には,ポイントクラスタ法の原理を正しく理解する必要があり,さらに実際の利用に関しては,その解析精度についても理解しておく必要がある.

 本稿では,ポイントクラスタ法の基本的原理について述べ,膝関節を例に示しながら,その特徴や誤差について説明する.

参考文献

1) Andriacchi TP, Alexander EJ, Toney MK, et al:A point cluster technique for in vivo motion analysis:Applied to a study of knee kinematics. J Biomech Eng 120:743-749, 1998
2) 石井慎一郎,山本澄子:実験用模型を使用したPoint Cluster法による膝関節運動の計測精度.理学療法24:1361-1369,2007
3) Ohnishi T, Suzuki M, Nawata A, et al:Three-dimensional motion study of femur, tibia, and patella at the knee joint from bi-plane fluoroscopy and CT images. Radiol Phys Tech 3:151-158, 2010
4) William RT, Rainald ME, Georg ND, et al:On the influence of soft tissue coverage in the determination of bone kinematics using skin markers. J Orthop Res 23:726-734, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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