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整形外科/知ってるつもり
サルコペニア
著者: 村木重之1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院22世紀医療センター臨床運動器医学講座
ページ範囲:P.616 - P.619
文献購入ページに移動高齢による衰弱は,平成19年(2007年)度国民生活基礎調査において脳卒中,認知症に次いで要介護の原因の3位を占め,急速に超高齢化したわが国においてその予防は喫緊の課題であるが,その主たる原因として筋力および筋量の低下による脆弱化が挙げられている.筋力,筋量が低下すると,運動の量と質が低下し行動範囲が狭まり,より虚弱化が進行するとともに,様々なレベルでの日常生活動作能力(ADL)が低下し,容易に要支援・要介護の状態へと移行する.このように加齢に伴う筋力および筋量の低下がサルコペニアである.European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)では,サルコペニアを「運動機能不全,quality of life(QOL)低下,死亡のような有害事象のリスクを伴う進行性かつ全身的な骨格筋量および筋力の低下」と定義している1).さらに,筋肉は,変形性膝関節症や変形性腰椎症とも関連があり,その症状の程度とも関与しているといわれている.また,筋力の低下は高齢者のADL,QOLにも大きな影響を与えており7),筋力低下の予防対策は喫緊の課題である.
本稿では,サルコペニアの定義について概説するとともに,筋力,筋量の経年的変化および筋力,筋量と運動器疾患との関連に関する研究の進展について,われわれの研究8)の知見を中心に概説する.
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