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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科46巻9号

2011年09月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

整形外科臨床における枕調節の意義

著者: 山田朱織1 勝呂徹2 星徹3

所属機関: 116号整形外科 2東邦大学医学部整形外科 3東京工科大学コンピュータサイエンス学部

ページ範囲:P.852 - P.858

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はじめに

 脊椎動物である人間にとって,睡眠中に使用する「枕の調節の必要性」を考える.

 歴史的にみても,世界的にみても,医学的とくに臨床的に検証されたevidence based pillowはない.しかし人間の睡眠の意義の解明,脊椎の回復の視点からみた睡眠姿勢の研究をする過程で,枕の調節について研究することは不可欠である.なぜなら睡眠姿勢とは,覚醒時の意識的な姿勢保持と異なり,無意識の間に寝具条件の影響を受けるところが大きいからである.とりわけ頚椎の姿勢を決定する枕の条件は,脊椎全体の睡眠姿勢に影響し,基礎疾患の症状を増悪する原因にもなれば,治療効果にもなることを,脊椎疾患の治療を担う整形外科医は認識しなければならない.これまで日本の臨床整形外科領域において,枕は重視されることなく,治療として十分に議論されてこなかった.われわれは,枕と寝台を中心に睡眠姿勢を研究している.最新の臨床知見を含め紹介する.

参考文献

1) 飯塚幸子,三輪恵美子:まくらを科学する.からだの科学156:139-144,1991
2) 石澤利晃,関口暁宣,山田朱織・他:枕高さ調節のための寝返り動作解析.第11回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,2N2-1,2010
3) 河合伸也:肩こりの治療のポイント―肩こりの治療指針.クリニシアン44:499-504,1997
4) 峰崎フミ子:枕の人間工学的研究(第一報)高さについて.家政学雑誌20:187-192,1969
5) 大森薫雄:リウマチのケア―日常生活の指導の進め方.MB Orthopaedics 11(6):7-11, 1998
6) 高岸憲二,荒  毅,堤 智央・他:肩こりの治療.MB Orthopaedics 19:16-19, 2006
7) 山田朱織,古府照男,勝呂 徹:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法.東日本整災会誌18:460-465,2006
8) 山田朱織,山口泰成,勝呂 徹:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価.東日本整災会誌18:466-471,2006
9) 山田朱織,勝呂 徹:枕調節による肩こり治療.リウマチ科38(1):64-70,2007
10) 山田朱織:頸の姿勢異常と枕.脊椎脊髄21:1233-1240,2008
11) 山田朱織,勝呂 徹,星  徹・他:枕調節の意義を寝返りの4D解析から考える―仮想体軸の可視化.第83回日本整形外科学会学術総会,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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