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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科47巻11号

2012年11月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

痛み関連物質のプロテオミクス解析

著者: 大木豪介1 和田卓郎1 相木比古乃1 山下俊彦1 今井伸一2 小海康夫2

所属機関: 1札幌医科大学整形外科学教室 2札幌医科大学フロンティア医学研究所病態情報学分野

ページ範囲:P.1090 - P.1093

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■プロテオミクスとは

 1995年,Wilkinsら5)は生体内での翻訳後修飾を含むタンパク質の集合をプロテオーム(proteome)と名付けた.プロテオームとはDNAの集合であるゲノム(genome),RNAの集合であるトランスクリプトーム(transcriptome)に対応する造語である.タンパク質が生理活性を示すには,リン酸化や糖鎖の付加,切断など様々な修飾を受ける必要がある.そのためプロテオームはゲノムと比較して,はるかに多い(図1).また,mRNA量とタンパク質量の間には必ずしも相関が成立しない2).したがって,生命現象を明らかにするためには,タンパク質の変動を直接みる必要がある.プロテオミクスとは,この機能的なタンパク質の集合体,プロテオームを網羅的に解析かつ同定する作業である.

 2001年にヒトゲノム解析が終了し,その全塩基配列が発表されたことにより,タンパク質の設計図が明らかとなった.以後ポストゲノム時代へと突入し,様々な分野でプロテオミクスの手法を用いた研究がされ,その有用性が報告されるようになった3).本稿では,当科で行ってきた疼痛関連物質のプロテオミクス解析を概説する.

参考文献

1) Bell SG, Vallee BL:The metallothionein/thionein system:an oxidoreductive metabolic zinc link. Chembiochem 10:55-62, 2009
2) Futcher B, Latter GI, Monardo P, et al:A sampling of the yeast proteome. Mol Cell Biol 19:7357-7368, 1999
3) Hori T, Naishiro Y, Sohma H, et al:CCL8 is a potential molecular candidate for the diagnosis of graft-versus-host disease. Blood 111:4403-4412, 2008
4) Oki G, Wada T, Iba K, et al:Metallothionein deficiency in the injured peripheral nerves of complex regional pain syndrome as revealed by proteomics. Pain 153:532-539, 2012
5) Wilkins MR, Sanchez JC, Gooley AA, et al:Progress with proteome projects;why all proteins expressed by a genome should be identified and how to do it. Biotechnol Genet Eng Rev 13:19-50, 1995
6) Yamashita T, Ishii S, Usui M:Pain relief after nerve resection for post-traumatic neuralgia. J Bone Joint Surg Br 80:499-503, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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