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整形外科/知ってるつもり
痛み関連物質のプロテオミクス解析
著者: 大木豪介1 和田卓郎1 相木比古乃1 山下俊彦1 今井伸一2 小海康夫2
所属機関: 1札幌医科大学整形外科学教室 2札幌医科大学フロンティア医学研究所病態情報学分野
ページ範囲:P.1090 - P.1093
文献購入ページに移動1995年,Wilkinsら5)は生体内での翻訳後修飾を含むタンパク質の集合をプロテオーム(proteome)と名付けた.プロテオームとはDNAの集合であるゲノム(genome),RNAの集合であるトランスクリプトーム(transcriptome)に対応する造語である.タンパク質が生理活性を示すには,リン酸化や糖鎖の付加,切断など様々な修飾を受ける必要がある.そのためプロテオームはゲノムと比較して,はるかに多い(図1).また,mRNA量とタンパク質量の間には必ずしも相関が成立しない2).したがって,生命現象を明らかにするためには,タンパク質の変動を直接みる必要がある.プロテオミクスとは,この機能的なタンパク質の集合体,プロテオームを網羅的に解析かつ同定する作業である.
2001年にヒトゲノム解析が終了し,その全塩基配列が発表されたことにより,タンパク質の設計図が明らかとなった.以後ポストゲノム時代へと突入し,様々な分野でプロテオミクスの手法を用いた研究がされ,その有用性が報告されるようになった3).本稿では,当科で行ってきた疼痛関連物質のプロテオミクス解析を概説する.
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