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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科47巻5号

2012年05月発行

文献概要

症例報告

2カ所に発生した脊髄髄膜腫に対して斉藤らの硬膜処理法により全摘出しえた1例

著者: 吉田裕俊1 佐藤浩一1 太田剛1 折井久弥1 鳥越一郎1 友利正樹1 鏑木秀俊1 田野敦寛1

所属機関: 1済生会川口総合病院整形外科

ページ範囲:P.493 - P.497

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 髄膜腫の手術的治療では従来,腫瘍を硬膜ごと一塊として摘出する方法が一般的である.この術式では硬膜欠損が生ずるため,同部に人工硬膜を縫着し髄液漏が発生するリスクがあった.斉藤らは,2001年硬膜内髄外の脊髄髄膜腫でその硬膜付着部が脊髄の背側または背外側に存在するものに対して,硬膜外層を温存する新しい硬膜処理法による摘出術を報告した.今回2カ所に発生した髄膜腫に対して同様の術式を用いて全摘出し,人工硬膜縫着の必要性や髄液漏を生ずることなく治療しえたので,若干の文献的考察を加え報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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