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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科47巻7号

2012年07月発行

文献概要

最新基礎科学/知っておきたい

ホメオボックス遺伝子Mohawkと腱の発生

著者: 鬼塚奈緒子12 浅原弘嗣13

所属機関: 1国立成育医療研究センター研究所・システム発生・再生医学研究部 2慶應義塾大学医学部整形外科学教室 3東京医科歯科大学システム発生・再生医学分野

ページ範囲:P.632 - P.634

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 腱は筋肉と骨,あるいは筋腹と筋腹をつなぐことで,筋肉の力を骨格に伝達し体を動かすことを可能にする.腱とそれらを構成する細胞は,生物学的にも非常に興味深い対象であり,かつ医学的にも重要な組織であるにもかかわらず,ほかの間葉前駆細胞と比較すると腱の組織形成の分子機構に関してはほとんど解明されていない.腱は屈筋腱損傷,腱板断裂,アキレス腱断裂などに代表されるように,外傷や使いすぎ,加齢による変性によって障害を受けるが,腱の治癒能力は弱く完全に修復することは稀である.またエーラス・ダンロス症候群では1型コラーゲン遺伝子が変異しコラーゲンの生成に異常を生じることがわかっている.

 近年,人工腱の作成や間葉系幹細胞を使用する再生医学の研究が盛んになるにつれて,腱に関する生化学についてのより深い理解が必要とされている3)

参考文献

1) Anderson DM, Arredondo J, Hahn K et al:Mohawk is a novel homeobox gene expressed in the developing mouse embryo. Dev Dyn 235(3):792-801, 2006
2) Anderson DM, Beres BJ, Wilson-Rawls J, et al:The homeobox gene Mohawk represses transcription by recruiting the sin3A/HDAC co-repressor complex. Dev Dyn 238(3):572-580, 2009
3) Benjamin M, Ralphs JR:The cell and developmental biology of tendons and ligaments. Int Rev Cytol 196:85-130, 2000
4) Ito Y, Toriuchi N, Asahara H, et al:The Mohawk homeobox gene is a critical regulator of tendon differentiation. Proc Natl Acad Sci U S A 8 107(23):10538-10542, 2010
5) Liu W, Watson SS, Lan Y, et al:The atypical homeodomain transcription factor Mohawk controls tendon morphogenesis. Mol Cell Biol 30(20):4797-4807, 2010
6) Murchison ND, Price BA, Conner DA, et al:Regulation of tendon differentiation by scleraxis distinguishes force-transmitting tendons from muscle-anchoring tendons. Development 134(14):2697-2708, 2007
7) Slack J(著),大隅典子(訳):エッセンシャル発生生物学.羊土社,p33,2004
8) Yokoyama S, Ito Y, Asahara H, et al:A systems approach reveals that the myogenesis genome network is regulated by the transcriptional repressor RP58.Dev Cell 17(6):836-848, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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