文献詳細
連載 医者も知りたい【医者のはなし】・52
文献概要
■まえがき
江戸幕末の医学の歴史,とくに蘭医学をひも解くと緒方洪庵と杉田成郷の「扶氏(フーフェラント)の医戒」についての記述がある.西洋の医学校では,「ヒポクラテスの医箴」を教え,暗誦させる.残念ながら日本の医学校では取り立てて教えなかったように思う.しかし最近では,一般教養の時間に「医の倫理学(medical ethics)」の講義の中で取り上げられているようである.
私が米国で外科研修を受けた時代に学んだ「ヒポクラテスの医箴」の中で,患者に毒を与えない,貧富の差別をしないなどの項目があるが,「守秘義務」の項も当然のことだが大切であると思っていた.最近では,「プライバシー」が医学界や一般社会でも強調されていることは,大変に喜ばしい.
江戸幕末の医学の歴史,とくに蘭医学をひも解くと緒方洪庵と杉田成郷の「扶氏(フーフェラント)の医戒」についての記述がある.西洋の医学校では,「ヒポクラテスの医箴」を教え,暗誦させる.残念ながら日本の医学校では取り立てて教えなかったように思う.しかし最近では,一般教養の時間に「医の倫理学(medical ethics)」の講義の中で取り上げられているようである.
私が米国で外科研修を受けた時代に学んだ「ヒポクラテスの医箴」の中で,患者に毒を与えない,貧富の差別をしないなどの項目があるが,「守秘義務」の項も当然のことだが大切であると思っていた.最近では,「プライバシー」が医学界や一般社会でも強調されていることは,大変に喜ばしい.
参考文献
1) 藤野恒三郎:緒方洪庵と適塾.適塾記念会,1980
2) 緒方富雄:緒方洪庵傳.岩波書店,1943
3) 緒方富雄:蘭学のころ.弘文社,1950
4) 杉本つとむ:江戸蘭方医からのメッセージ.ぺりかん社,1992
5) 中西雅博:緒方洪庵―幕末の医と教え.思文閣出版,2009
6) 梅渓 昇:緒方洪庵と適塾.大阪大学出版会,1996
7) 杉田絹枝・杉田 勇(訳):フーフェラントCW(著),フーフェラント自伝/医の倫理.北樹出版,1995
掲載誌情報