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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科48巻2号

2013年02月発行

文献概要

誌上シンポジウム 高齢者の腱板断裂

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著者: 高岸憲二1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科医科学専攻器官制御学整形外科学

ページ範囲:P.106 - P.106

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 日本は世界のどの国も経験したことがない超高齢社会となり,肩関節に症状を訴えて自立した日常生活が困難となる国民も増加してきた.腱板断裂は重要な疼痛性肩疾患であるが,高齢者の腱板断裂に対する治療法はエビデンスの蓄積がなく,専門家の間でも意見が分かれている.近年,画像診断の進歩により腱板断裂の診断が比較的容易となり,高齢者の腱板断裂についても多くのことがわかってきた.

 この誌上シンポジウムで山本敦史先生は「健診からみた高齢者の腱板断裂」の中で,75歳以上の高齢者の半数以上に腱板断裂が存在すること,永井英先生は「高齢者の腱板断裂に対する運動療法」の中で,単に疼痛を軽減するだけでなく,残存腱板や周囲筋の機能を引き出し,肩甲胸郭機能を改善させ,無症候性の状態とし,二次的な障害を予防する目的と述べている.北村歳男先生は「高齢者の腱板断裂の続発症」の中で,比較的稀であった「三角筋皮下断裂」,「関節血腫」,肩峰・鎖骨遠位前縁と関節窩上方部の摩耗欠損/上腕骨頭の上方脱臼である「cuff tear arthropathy」が多くみられるようになっていること,およびその対応についても言及し,相澤利武先生は「高齢者の腱板断裂に対する手術成績」の中で,高齢者であっても鏡視下手術で対応できれば良好な成績が期待できるが,変性が進行すると疼痛の改善は望めるが,機能の回復は困難と述べている.濱田一壽先生は「腱板広範囲断裂症例のX線分類と臨床的特徴」で広範囲腱板断裂のX線分類を表し,手術例の術後再断裂率はgrade 2がgrade 1よりも高かったことを述べ,腱板断裂手術は肩峰骨頭間距離が狭小化する前に行うべきと述べている.高齢者であっても腱板断裂の手術を行う場合には,修復が困難になる前に行ったほうがよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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