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誌上シンポジウム 高齢者の腱板断裂
文献概要
腱板断裂の治療において高齢者は若年者とは病態が異なり,それに対応した手法が求められる.今回70歳以上の症例の手術成績を検討した.症例は47例であり,断裂型は不全断裂が6例,小断裂が6例,中断裂が7例,大断裂が15例,広範囲断裂が13例であった.手術術式は鏡視下腱板修復術(ARCR)が37例,直視下腱板再建術が3例,腱板断裂性関節症(CTA)型人工骨頭置換術が7例であった.それぞれのJOAスコアはARCR群では術前平均62.9点から術後85.8点,直視下再建術群では59.0点から86.0点,CTA型人工骨頭群は47.6点から平均71.9点に改善していたが他群より低値であった.高齢者であっても鏡視下手術で対応できれば良好な成績が期待できるが,変性が進行すると疼痛の改善は望めるが機能の回復は困難である.
参考文献
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