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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科48巻2号

2013年02月発行

文献概要

症例報告

多房性腸恥滑液包炎を伴った急速破壊型股関節症の1例

著者: 加藤充孝1 大野義幸1 安良興1 青戸寿之1 清水孝志1 平川明弘1 村尾浩樹1 京仁寿1

所属機関: 1岐阜市民病院整形外科

ページ範囲:P.195 - P.198

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 急速破壊型股関節症に伴った,囊胞壁に石灰化を認める多房性の腸恥滑液包炎と思われる稀な症例を経験したので報告する.症例は59歳の女性である.関節リウマチが基礎疾患として存在した.左股関節痛が出現し8カ月で左大腿骨頭の破壊を認め,急速破壊型股関節症と思われた.MRIで左股関節と連続し左腸骨内板に接する大きな多房性囊胞性病変(腸恥滑液包炎)を,CTでは囊包壁に石灰化を認めた.多房性囊胞性病変は処置せず左急速破壊型股関節症に対しセメント人工股関節置換術を施行した.人工股関節置換術後3年のCTでは多房性囊胞性病変の消失を確認した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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