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三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷
著者: 中村俊康1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科
ページ範囲:P.559 - P.563
文献購入ページに移動三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex:TFCC)は三角線維軟骨(triangular fibrocartilage:TFC)を中心として,その周囲の靱帯組織を含む尺側手関節の支持性に関して要となる線維軟骨-靱帯複合体である.立体的には尺側手根骨を支持する遠位componentであるhammock構造部,尺骨小窩および尺骨茎状突起基部からほぼ垂直に起始し,TFCC近位面を走行し,橈骨尺骨切痕に停止する橈尺間を直接支持する三角靱帯(真の橈尺靱帯),尺側側副靱帯として機能する尺側手根伸筋腱腱鞘床と尺側関節包で構成される(図1)9).手関節の重要な機能である支持性と可動性の両立に極めて重要な役割を果たす軟部組織である.また,その損傷は外傷および加齢変性に伴い発生する,頻度が高い疾患である.外傷性断裂は交通事故や転落,橈骨遠位端骨折などで生じる.変性損傷は尺骨の相対長が橈骨よりも長いplus varianceを呈する尺骨突き上げ症候群に発生することが多い3).
現在,広く用いられているPalmer分類10)では,外傷性損傷をClass 1,変性損傷をClass 2に分類し,Class 1は損傷部位によって1A:中央部損傷,1B:尺側部損傷,1C:遠位部損傷,1D:橈側損傷に細分類し,Class 2はTFCの変性の程度と月状骨三角骨間靱帯損傷の合併の有無で細分類している.また,近年,背側損傷2)などのPalmer分類に含まれないTFCC損傷の報告もあり,分類の修正が必須である.
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