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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科48巻7号

2013年07月発行

雑誌目次

視座

整形外科医としての勤務スタイル

著者: 岩崎倫政

ページ範囲:P.647 - P.647

 ご存知のように北海道は土地の広さに比較し医師数が少ないことから,札幌や旭川などの医育機関所在地以外では深刻な医師不足に悩まされている.もちろん,整形外科とて例外ではない.病院経営への貢献度が高い整形外科は,公的および民間病院の両者にとってぜひとも充実させたい診療科の一つである.したがって,教室にも道内の病院から数多くの新規医師派遣要請があるが,教室自体にすべての要請に応えられるマンパワーは不足しているため,丁重にお断りするしかないのが現状である.

 一方,都市部の民間病院への中堅,若手医師の就職希望者は後を絶たない.勤務先が都市部に固定され,夜間救急などのdutyも少ない環境は彼らには魅力的に映るのであろう.これに加え,最近では週に2,3日都市部の病院で勤務し,残りは地方の整形外科医師不足に悩む病院(主として民間病院)で外来と手術を中心とした診療を行うという勤務スタイルを取り入れる病院(これが医師のリクルートにもつながっている)も出現している.このシステムにより,病院側はある程度医師の給与を抑制し(時間を与えることで他の病院から給与が得られるため両者にとって好都合である),医師は主として手術に多くの時間を割くことができ,周術期管理や当直などは免除される.すなわち,責任は軽減し,総収入は増加することになる.最近は,マスコミなどで“天才外科医”などと称され全国を飛び回る外科医の特集が組まれることなども,このような風潮に拍車をかけているようにも思われる.

誌上シンポジウム 転移性骨腫瘍―治療の進歩

緒言 フリーアクセス

著者: 荒木信人

ページ範囲:P.648 - P.648

 高齢化の進行,がん患者数の増加,分子標的治療薬や抗癌剤の進歩に伴う予後改善などにより,治療を必要とする骨転移患者数は増加の一途をたどっている.整形外科医は骨の専門家として骨転移治療に参画する責務があるが,実際の臨床現場ではその対応に苦慮することが多い.本特集では,日常的に骨転移患者を第一線で診療している著名な専門家の諸先生方に,最新の治療成績や方針決定の指針を解説していただいた.

 片桐浩久先生には予後予測表の改訂版を執筆いただいた.新予後予測表は血液データや分子標的治療薬も考慮され,非常に有用である.是非日常診療への利用を行っていただきたい.

転移性骨腫瘍の予後因子と予後予測システム―単一施設における808例の解析結果

著者: 片桐浩久 ,   岡田理恵子 ,   高木辰哉 ,   高橋満 ,   村田秀樹 ,   和佐潤志 ,   保坂聖一 ,   若井建志 ,   西村哲夫 ,   朝倉浩文 ,   原田英幸 ,   小川洋史

ページ範囲:P.649 - P.655

 2005年からの3年間に発生した骨転移808例について多変量解析を行った.全808例の累積生存率は,6カ月で57%,1年で36%,2年で23%,そして3年で16%であった.多変量解析の結果,原発巣の種類,内臓転移,血液検査所見,Performance Status,過去の化学療法歴,多発骨転移の6項目が有意な予後悪化因子であった.予後スコア合計点数が3点以下の症例の1年生存率は91%であり,屋外歩行を目標とした長期間効果が持続する治療方法が第一選択である.一方,7点以上の症例の1年生存率は6%に過ぎないため,侵襲が少なく治療期間が短い方法が第一選択である.4~6点の症例は年齢や他の病変を考慮してケースバイケースに対応する必要がある.

転移性骨腫瘍の薬物療法

著者: 高橋俊二

ページ範囲:P.657 - P.661

 最近,がんの骨転移治療の重要性が認識されるようになってきた.骨に転移した癌は,生命予後に大きな影響を及ぼさないが,骨関連事象(skeletal-related events,SRE)により患者のQOLを著しく低下させる.これに対してビスホスホネート,抗RANKL抗体デノスマブなどの破骨細胞を抑制する骨特異的薬剤が開発され,これらがSREを低下させることが確立されており,骨転移患者のQOL改善に寄与している.さらに新たな骨特異的薬剤の開発が進行している.

転移性骨腫瘍(四肢)の手術療法

著者: 杉浦英志

ページ範囲:P.663 - P.668

 四肢骨転移の患者は常に病的骨折の可能性があり,下肢骨,特に大腿骨では完全骨折を来すとQOLの著しい低下を招くばかりでなく,その後の生命予後にも影響を与えるため完全骨折を来す前に手術治療を検討する必要がある.上肢骨では,特に上腕骨の完全骨折に対しては,手術治療を積極的に考慮してよいが,前腕骨ではQOL上の支障は少ないため保存的治療を優先してよい.手術法の選択には生命予後予測に応じて判断する必要があり,予後が短い症例では内固定+放射線治療を行い,長期予後が見込まれる症例では,局所合併症を少なくするために腫瘍切除を併用した手術法を検討する必要がある.

転移性骨腫瘍(脊椎)の手術療法

著者: 徳橋泰明 ,   上井浩 ,   大島正史 ,   海老原貴之

ページ範囲:P.669 - P.674

 骨関連事象の予防治療(ビスホスホネート,抗RANKL抗体や化学療法の積極的導入)が,転移性脊椎腫瘍無症候期の治療のファーストラインに導入されるようになった.しかし,手術療法は,依然即時的にADLを拡大できる優れた対症療法である.広範切除術式の開発や姑息的術式の多様化と術式の低侵襲化も図られている.しかし,麻痺改善に限界があること,機能的予後は術式や治療法によらず,治療後生存期間に依存していることから,予後最優先の術式(治療法)選択は依然重要である.手術療法は,適応と限界を踏まえてより有効に適応すべきである.

転移性骨腫瘍に対する放射線療法

著者: 小泉雅彦

ページ範囲:P.675 - P.682

 転移性骨腫瘍への放射線治療(RT)の適応と方法について治療の進歩を概観した.難治有痛性など症状があるほとんどの場合にRTの適応はある.脊髄圧迫の際は手術適応が先行されるべきだが,手術不可の場合は,RTは代替手段となりうる.従来,全骨を基本に前後対向2門の矩形照射野で30Gy/10回/2週が基本であった.近年は画像診断の進歩で転移巣が明確化し,腫瘍浸潤範囲と照射誤差を加えた標的体積が定義できるようになった.技術が進み,照射精度が向上し,周囲危険臓器を避けた線量集中ができるようになった.高精度RTの発展で,姑息的,対症的手段から,再照射も含めた,積極的な適応が多くなってきている.

転移性骨腫瘍の緩和医療

著者: 城山晋

ページ範囲:P.683 - P.687

 近年の分子標的治療薬を中心とした抗腫瘍薬の選択肢の拡大や,新技術の導入による放射線治療の適応の拡大により,再発や遠隔転移・多発転移があっても,長期生存可能な場合は少なくない.したがって,骨転移に起因した症状を緩和・コントロールし,機能障害を最小限にとどめることは増え続ける骨転移患者にとって重要な問題である.手術・薬物療法・放射線治療などのがんを制御する治療の他に,オピオイドを中心とした鎮痛薬の使用による疼痛緩和,リハビリテーションによる機能改善・維持により終末期まで良好なADL・QOLが保たれることが望ましい緩和医療であると考える.

論述

橈骨遠位端骨折に対するAcuLoc® plateとVariAx® plateの治療成績の比較

著者: 田中聡一 ,   国分毅 ,   美舩泰 ,   西本華子 ,   無藤智之 ,   名倉一成 ,   黒田司 ,   黒坂昌弘

ページ範囲:P.689 - P.692

 背景:橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートの治療成績を比較検討した.

 対象:2008~2012年に手術を行った43例を対象とした.24例にAcuLoc® plate(A群),19例にVariAx® plate(V群)を使用した.

 結果:関節可動域,平均矯正損失,臨床評価に両群間で有意差は認めなかった.しかし,A群の1例で長母指屈筋腱損傷と正中神経障害を認めた.

 考察:2種のプレートはともに良好な術後成績を示した.合併症予防のためには正確な解剖学的整復と良好なプレート設置位置が重要である.

Bouchard結節に対する機能的スプリント療法の効果

著者: 水谷陽子 ,   森本浩之

ページ範囲:P.693 - P.697

 背景:Bouchard結節は症例数が少なく,治療効果を報告しているものは少ない.

 対象と方法:Bouchard結節のある15指に対しスプリントを作製し,スプリント装着前後に手指proximal interphalangeal(PIP)関節の屈曲角度,握力,痛みvisual analogue scale(VAS),動かしやすさVASを計測し比較した.

 結果:スプリント装着前後で手指PIP関節の屈曲角度と痛みVASは有意に減少したが,握力と動かしやすさVASは変化は認められなかった.

 まとめ:今回考案したスプリントによって握力と手指の動かしやすさに影響を及ぼさない程度で運動制限したことにより疼痛が軽減した.

調査報告

腰椎椎間板ヘルニアに対する手術成績と心理的要因―整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問票(BS-POP)を用いた検討:前向き研究

著者: 渡邉和之 ,   大谷晃司 ,   二階堂琢也 ,   加藤欽志 ,   矢吹省司 ,   菊地臣一 ,   紺野愼一

ページ範囲:P.699 - P.704

 【背景】本研究の目的は,腰椎椎間板ヘルニアにおける術前の整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問票(以下,BS-POP)と手術成績との関係を明らかにすることである.

 【対象と方法】腰椎椎間板ヘルニアに対して手術を行った30例を対象とした.対象を術前のBS-POPで正常群と異常群に分けて前向きに比較検討した.

 【結果】BS-POP異常群は正常群と比較して,術後1年時の健康関連QOL尺度SF-36の身体機能(PF)と社会生活機能(SF)得点が有意に低かった.すなわち,BS-POP異常群は正常群と比較して,術後1年時のQOLが劣る.

 【結論】術前におけるBS-POPによる評価は,手術成績不良例をスクリーニングできる可能性がある.

Lecture

重粒子線治療―イントロダクション

著者: 今井礼子

ページ範囲:P.705 - P.708

はじめに

 重粒子線治療は放射線治療の1つである.放射線治療に用いられているX線は電磁波であり,重粒子線は粒子線である.一般に重粒子とは,広義には電子より重い粒子を指す.そのなかで原子番号が2より重い原子核を加速器で高速に加速したものは「重イオン線」とも呼ばれ,重粒子線としての物理学的あるいは生物学的特徴を持っている.放射線医学総合研究所では1994年から重粒子線医療専用加速器:HIMAC(ハイマック,Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)を用いて,炭素の原子核を光速の80%に加速し,炭素イオン線による重粒子線がん治療を行っている(便宜上,炭素イオン線を重粒子線と呼んでいる).

 この重粒子線の特長は,1)線量の集中性に優れている,2)強い生物効果を持つ,に要約される.優れた線量の集中性とは,がん病巣に線量を集中させ周囲正常組織への線量は抑えることができるということである.一般の放射線(X線)の線量分布は入射後体内の浅いところで最大となり,深くなるにつれ徐々に減少するため,多方向から照射することで体深部にある標的の線量を保っている.深部にある腫瘍を照射する場合,腫瘍の手前も後ろも照射される.一方,重粒子線は体表面から入射後,標的までは低線量で進行し深部標的で停止する直前に一気にエネルギーを放出し最大線量を照射し,それより深部はほとんど照射されない.この特徴的な線量分布をブラッグピーク(Bragg peak)という.このBragg peakを病変部の深さや大きさに合わせ拡大することにより,周囲正常組織への線量を最小限に抑えつつ,体深部に存在する病変に対しては大線量を集中させることが可能になるのである(図1).強い生物効果とは,重粒子線は飛程に与える電離密度が高いので高LET(linear energy transfer)放射線であり,X線は低LET放射線であることが関係している.細胞実験において,重粒子線照射によるDNA損傷はX線のそれより強く回復しにくく,放射線抵抗性の細胞周期にあるがん細胞にも効果がある.陽子線もBragg peakを持ち,線量分布は優れているが,低LET放射線であるので,生物学的効果はX線とほぼ同じである.

連載 特別講義 整形外科の歴史・3

「先天性」股関節脱臼の治療史―CDHからDDHへ

著者: 小野啓郎

ページ範囲:P.709 - P.717

CDHの成因研究

 生れながらの脱臼と考えられた当時から,股関節の脱臼はその頻度の高いことで知られていた.内反足や筋性斜頚に比べてもはるかに多いこと,しかも血筋(遺伝)に関係し,兄弟姉妹でも女性に多いことなどの特徴があった.20世紀,先天性股関節脱臼という病名が通用する時代を迎えて,ようやく,股関節の解剖学的研究が増える.強大な関節でありながらどうして脱臼しやすいのか?といぶかしむ人も多く,そこには深い理由があると考えられた.

 脱臼しやすい股関節の構造は,胎芽から胎児期へとどのように形成されていくのだろうか? これは整形外科医・小児科医にとって長年にわたる疑問であったに相違ない.

知ってますか?整形外科手術の変遷・16

腫瘍脊椎骨全摘術(TES)

著者: 村上英樹 ,   富田勝郎 ,   川原範夫 ,   土屋弘行

ページ範囲:P.715 - P.719

はじめに

 脊椎腫瘍に対する根治手術である腫瘍脊椎骨全摘術(total en bloc spondylectomy;TES)は2004年1月1日に厚生労働省から先進医療に認定され,2012年4月ついに保険適用となるに至った.TESが保険適用になったこの機会に,これまでのTESの開発と改良,そしてその発展について述べる.

整形外科最前線 あなたならどうする?・19

整形外科最前線 あなたならどうする?

著者: 吉村一朗 ,   内藤正俊

ページ範囲:P.721 - P.724

症例

患者:17歳,男性

主訴:左足関節痛

既往歴:複数回の足関節捻挫の既往あり.

現病歴:5年前から運動時における足関節痛が出現した.某医を受診し運動の中止と外固定などの治療を受けたが,症状は改善しなかった.平地歩行においても疼痛を自覚するようになり,当院を受診した.

成長期のスポーツ外傷・障害と落とし穴・32

肘関節

著者: 大倉俊之 ,   帖佐悦男

ページ範囲:P.725 - P.728

診断のポイント

1) 左上肢から転落して受傷し,肘関節から前腕の著しい腫脹と肘関節の自動運動困難を認めた.

2) 肘関節X線撮影は,正側2方向撮影が基本である.しかし,受傷直後で脱臼を伴っている場合は困難であるが,より詳細な観察には4方向撮影が望ましい.本症例では,X線検査で左肘後方脱臼と診断した.本症例は17歳であり,骨端線はほぼ閉鎖していた.しかし,成長期の肘関節の外傷で軟骨成分が多い場合には,骨折の正確な診断のために健側のX線像と比較する必要がある.

3) より詳細な骨折および軟部組織損傷の評価には,CT,MRIが有効である.

臨床経験

脊髄髄膜瘤に伴う高度脊柱後弯変形に対する後弯部切除(kyphectomy)6例の治療経験

著者: 長本行隆 ,   北野元裕 ,   飛松秀和 ,   青野博之 ,   今嶋由香理 ,   田村大資 ,   上田孝文 ,   岩崎幹季 ,   川端秀彦

ページ範囲:P.729 - P.734

 脊髄髄膜瘤に伴う高度脊柱後弯に対し後弯部切除(kyphectomy)を行った6例の手術成績ならびに手術満足度について調査した.手術時平均年齢は9.3歳であった.3例はプレート,3例はロッドで固定した.後弯角は術前132°から術直後56°に改善した.最終観察時の後弯角は66°と概ね矯正位を維持していた.一方,合併症は3件の術後後弯進行を含む計9件で,4例に追加手術を要した.手術満足度は3例で「非常に満足」,2例で「やや満足」と満足度は高かった.後弯部切除は,合併症は少なくはなかったが手術満足度が高く,後弯によりADL障害が強い症例には積極的に行うべき手術と考える.

症例報告

膝関節内と交通を持つ巨大ガングリオンの1例

著者: 石井元師 ,   石倉透 ,   松浦孝紀 ,   西田智

ページ範囲:P.735 - P.737

 症例は77歳の女性で,右膝関節内側に9×8cmという巨大な腫瘤像を呈した半月ガングリオンの稀な1例を経験した.MRIでは腫瘤は内側半月に隣接していた.関節鏡視下半月部分切除と観血的腫瘤切除を行ったところ,腫瘤と関節内の交通部を認めた.また,交通部にはチェックバルブ様機構の存在を示唆する所見を認め,巨大化の一因となったことが考えられた.関節鏡視下半月部分切除と観血的腫瘤切除を行い,再発なく良好な経過であった.

片側皮質骨切除後に加温処理骨移植で再建を行った大腿骨傍骨性骨肉腫の1例

著者: 宮本健太郎 ,   中島浩敦 ,   吉田雅博

ページ範囲:P.739 - P.743

 傍骨性骨肉腫(POS)の治療は広範切除が第一選択である.大腿骨遠位POSに対して,片側皮質骨切除を行った症例を報告する.症例は52歳の男性で単純X線像で大腿骨骨幹から遠位骨幹端後面に骨皮質に連続する膨隆性骨病変を認め,MRIでは髄腔に異常はなかった.生検でPOSと診断し,1cmの切除縁で片側皮質骨切除を行い加温処理骨で再建した.術後2年の現在,骨癒合は得られ患肢機能は97%である.再発・転移は認めない.大腿骨POSに対して片側皮質骨切除後に加温処理骨で再建し成績は良好である.

書評

『足の画像診断』 フリーアクセス

著者: 田中康仁

ページ範囲:P.697 - P.697

 日本で初めて足の外科診療に特化した画像診断の教科書が上梓された.著者は小橋由紋子先生で,日本足の外科学会でも画像診断の分野で大活躍されている.

 本書の卓越した点として,まずMRIの画像が本当にすばらしいことがあげられる.足の外科領域の診断に,MRIが驚きを持って迎えられたのは,距骨滑車骨軟骨損傷に対してであった.時期は1980年代末頃であったと記憶している.単純X線像では診断の難しいBerndt & Harty分類のⅠ期病変を描出できるということで,興奮を覚えたことを今でも思い出す.当時のMRIの画質と比較して,ここで提示されている美しいMRIの数々をみると隔世の感がある.本書では特別に「足の構造物のMRI撮影法」という章を立てて,詳細に記述されている.この章は「MRIの撮影シーケンスの決定方法」と「MRI撮影法の実際」に分けられ,前者では撮像のシーケンスを靱帯・腱,骨,軟骨,軟部組織などに分けて,目的別に撮影条件をどのようにすればよいかわかりやすく解説されている.また,後者では病変を描出するための,撮像肢位などについて細かく記載され,最適な描出条件が一目でわかるように工夫されている.外側靱帯,三角靱帯,Spring靱帯,二分靱帯,Lisfranc靱帯など靱帯別や,アキレス腱から長趾屈筋腱に至るまでほぼすべての腱について解説されている.さらに整形外科医が診断をする場合,よくアーチファクトかどうか迷う場合があるが,magic angle effectなどの骨関節領域に特異的なアーチファクトについて詳解されており,かゆいところに手が届くような構成になっている.足の疾患は,ピンポイントで疼痛を訴えるものも多く,撮り方を間違えれば折角MRIを撮像しても病変部がうまく描出できていないということが往々にしてある.その意味で整形外科医や放射線科医はもとより,MRIを実際に撮像されている放射線技師の方にも,是非本書を手元に置いていただきたい.

INFORMATION

第24回安比夏季セミナー(日整会専門医・教育研修会) フリーアクセス

ページ範囲:P.655 - P.655

期日:2013年(平成25)年8月31日・9月1日(土:午後3時より,日:午前9時より)

場所:ホテル安比グランド(岩手県八幡平市安比高原 TEL:0195-73-5011)

第55回乳児股関節エコーセミナー フリーアクセス

ページ範囲:P.661 - P.661

期日:2013年(平成25年)9月6日(金),7日(土)

主催:日本整形外科超音波学会,教育研修委員会

会場:信濃医療福祉センター(〒393-0093 長野県諏訪郡下諏訪町社字花田6525-1)

第39回整形外科エコーセミナー(入門コース) フリーアクセス

ページ範囲:P.682 - P.682

会期:2013年(平成25年)9月29日(日) 午前9時~午後5時頃

会場:エーザイ(株)名古屋コミュニケーションオフィス

   (名古屋市東区泉2-13-23 電話:052-931-1311)

第40回関東膝を語る会 フリーアクセス

ページ範囲:P.687 - P.687

日時:2013年(平成25年)11月16日(土) 13:00~18:00

会場:大日本住友製薬(株) 東京支社10階ホール(東京都中央区京橋1-13-1)

第40回日本肩関節学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.714 - P.714

日時:2013年9月27日(金),28日(土)

会場:ウェスティン都ホテル京都

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.745 - P.745

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.746 - P.746

文献の書き方 フリーアクセス

ページ範囲:P.747 - P.747

あとがき フリーアクセス

著者: 黒坂昌弘

ページ範囲:P.748 - P.748

 第86回日本整形外科学会学術総会も大成功裏に終わりました.広島大学の整形外科教室,日整会の役員の皆さんの力の集結が見事に開花したものです.本当におめでとうございました.

 さて第87回日整会学術総会は2014年5月22日(木)~25日(日),神戸で開催いたします.テーマは「夢の実現―Dreams Come True―The Soul & Spirit of Orthopaedics」とさせていただきました.われわれは整形外科医であるとともに,科学者です.知的好奇心を持ち続けて,新たな発見や発明をし,医療貢献することが使命です.ウォルト・ディズニーは「夢をみることができれば夢を実現することができる.」と言い,かの天才科学者アインシュタインは「私には特殊な才能はありません.熱狂的な好奇心があるだけです.」と言いました.熱狂的好奇心を持ち,医学の謎を解明し,よりよい医療を実現していくため,われわれは魂を込めて努力し研鑽を積まなければなりません.第87回日整会学術総会では,夢を実現した先輩方,夢を実現しようと努力している若い先生方にご講演,ご発表いただき,われわれ整形外科医が今やらなければならないこと,そして進むべき未来を示していただきたいと考えています.間違いなく「夢の実現」の第一人者である,ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥教授は,スポーツ医学を目指して整形外科で研修を始められ,今でも正会員のお1人になっておられます.ノーベル賞受賞の前後から,すべての講演はキャンセルになっていますが,来年の神戸では,Dreams Come Trueの道のりをノーベル賞受賞講演の時のように英語でお話しいただく予定にしています.素晴らしい講演が拝聴できるものと思われますので,多くの先生方のご参加をお待ちしています.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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