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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科48巻8号

2013年08月発行

雑誌目次

視座

専門医とは

著者: 石橋恭之

ページ範囲:P.751 - P.751

 「専門医」とは,日本専門医制評価・認定機構(以下,専認構)によると,“加盟している各学会と協調し5年間以上の専門研修を受け,資格審査ならびに専門医試験に合格して学会などによって認定された医師”と示されております.そしてこの専門医を認定する目的は,“社会に信頼される専門医制度の確立,専門医の育成・認定およびその生涯教育などを行うことを通じて,医療の質の向上を目指すこと”です.専認構では,整形外科を含めた基本領域18の専門医制度とsubspecialty領域として17専門医制度を承認しています.現在のところ,整形外科分野ではsubspecialtyとしてはリウマチ医が承認されていますが,今後は脊椎脊髄外科や手外科などが認定されていくものと思われます.患者側からみればその道のexpertに診てもらいたいと願うのは当然のことですし,われわれにとっても自分の知識や技術を公正な第三者機関に認定されることは意義あることだと思います.

 このような社会的風潮のためなのか,最近は早い時期から専門医を目指す,もしくは自分の専門を決めてしまう若手医師が多くなってきたような気がします.専門医のよい面はもちろんありますが,自分の専門しかみない,例えば“手しか診ない”,“膝しか知らない”,“外傷はやらない”……といった整形外科医が増えたような気がします.Expertというよりは,早くから自分の守備範囲を狭めている,もっと悪く考えれば認定医に満足し,やりたいことだけやって楽をしているようにも見えます.以前,私はある脊椎脊髄外科医に「なぜこの患者の腰椎を固定するのか?」と質問したことがありました.その脊椎脊髄認定医は「君ら専門外にはこのmicro? instabilityはわからないのだよ……」と答えたのみで,納得のいくディスカッションには発展しませんでした.もちろんこれは極端な例かもしれません.しかし,他人の意見に耳を貸さなくなることは往々にしてあります.

検査法

低出力超音波パルス(low-intensity pulsed ultrasound)による治療におけるターゲッティングの工夫―新しいターゲットデバイスの作製

著者: 井汲彰 ,   市村晴充 ,   山本晴楽 ,   岡野絵里子 ,   新井規仁 ,   上杉雅文 ,   会田育男

ページ範囲:P.753 - P.757

 背景:低出力超音波パルス(LIPUS)の骨癒合期間の短縮効果は多数報告されているが,上腕骨および大腿骨に対する治療において無効例の報告が散見される.これは,骨折部が皮膚表面より遠いため,超音波ビームが正確に照射されていないことが原因の1つと考えられている.

 方法:今回,単純X線撮影で簡便に照射位置を調整できるターゲットデバイスを作製し,超音波を使用する方法と比較してその有用性を検討した.

 結果:ターゲットデバイスにより照射位置の調整が容易で所要時間も少なく,視覚的に照射位置を確認しやすい.

 まとめ:正確な照射位置・角度を要するLIPUS治療において,デバイスの使用は有用であると考えられた.

Lecture

バランス障害と転倒予防

著者: 北潔 ,   佐藤栄作 ,   谷口博信 ,   三宅信昌

ページ範囲:P.759 - P.763

はじめに

 寝たきり老人の急増を背景に,家族負担の軽減を目的とした介護保険制度が2000年に開始された.悲惨な老老介護の実態はいまも残るが,介護保険制度のもたらした社会的恩恵は皆の認めるところであり,社会の根幹をなす制度の一翼を担うに至っている.一方,介護保険制度が開始されたと同時に給付の実態調査が行われ,高齢者の抱える2つの問題が浮き彫りになってきた.その1つが認知症であり,もう1つが運動器障害である.認知症を抱えた本人およびその家族の焦燥感は想像に余りあるところであるが,尊厳ある自立を脅かす運動器障害も大きな課題として取り上げられるようになってきた.運動器障害は生活機能低下を顕在化させ社会的自立を損ない,長引く運動器機能低下は尊厳ある2足歩行に転倒リスクを孕んでいくことになる.本稿ではバランス障害に焦点を当て転倒予防について述べてみたい.

最新基礎科学/知っておきたい

Nogginの骨・関節形成における機能と病態への関与

著者: 二藤彰

ページ範囲:P.764 - P.769

■はじめに

 Nogginはもともと発生初期の頭尾軸の向きを決める分子として(“noggin”は頭という意味),20年ほど前にアフリカツメガエルで発見,同定された分子である35).Nogginが発見されるより少し前に分子の構造が同定されたBMP(bone morphogenetic protein:骨形成因子)も,骨形成のみならず,発生初期の軸を決めるのに重要であることが示された11).その後,BMPとNogginが作用において逆であるのみならず,生化学的にも結合阻害する分子であることが示され,BMPに対する生体内の阻害物質である可能性が示された45).そのBMPとNogginの拮抗関係が骨形成過程でも予想され,実際BMPによる骨形成促進作用が,Nogginによって阻害されることが示された3)

 その後,Nogginのみならず,他にも多くのBMP阻害分子sclerostin(SOST),twisted gastrulation(Tsg),chordin,gremlin,follistatin,Dan,Dante,PRDC(protein related to Dan and Dante)などが報告された17,25,28,39).そのうち,ヒトで疾病の原因遺伝子として遺伝子変異が報告されたのは,nogginとsclerostinだけである18)

 本稿ではNogginの骨系統疾患との関連についての最新の知見を紹介するとともに,そこから推測されうるNogginの疾病への関与について考察したい.

境界領域/知っておきたい

生物学的製剤によるB型肝炎ウイルス再活性化(ガイドラインを含む)

著者: 藥師神崇行 ,   冨田哲也 ,   竹原徹郎

ページ範囲:P.770 - P.774

はじめに

 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)の感染様式は,一過性感染と持続感染に分類される.一過性感染は,成人における水平感染であり,多くは無症状であるが,一部は急性肝炎を発症したのち,臨床的に治癒に至る.一方,持続感染は,出産時の垂直感染や乳幼児期の水平感染であり,免疫寛容期を経て肝炎を発症し,大部分が非活動性キャリアとなる.この非活動性キャリアの患者に対する免疫抑制療法や化学療法が,HBVの増殖を促し,重篤な肝炎を引き起こすことは,従来より多数報告されてきた.最近では,治癒したと考えられていた既往感染においても,同様にHBVが増殖し,肝炎を発症することが報告されており,de novo肝炎として大きな問題となっている.

連載 整形外科最前線 あなたならどうする?・20

整形外科最前線 あなたならどうする?

著者: 小林勉 ,   高岸憲二

ページ範囲:P.775 - P.777

症例

症例:20歳,男性

主訴:右肩反復性脱臼不安感

既往歴:特記事項なし

現病歴:当科受診2年前からコンタクトスポーツ活動に参加し,当科受診1年前に初回右肩関節脱臼を受傷した.受傷日に近隣の病院で徒手整復を受け,保存的治療を受けた.その約3カ月後からスポーツ復帰したが,その後,日常生活上も右肩関節脱臼を繰り返すようになった.反復性肩関節脱臼の診断で当科を紹介され,受診した.

知ってますか?整形外科手術の変遷・17

腰部脊柱管狭窄に対する除圧術

著者: 紺野愼一

ページ範囲:P.778 - P.782

 腰部脊柱管狭窄に対する除圧術は,広範囲椎弓切除術から拡大開窓術,骨形成的椎弓切除術,椎弓間拡大術,選択的除圧術へと発展してきた.最近では,内視鏡下除圧術も盛んに行われている.その歴史について述べる.

成長期のスポーツ外傷・障害と落とし穴・33

手関節痛

著者: 中村志保子 ,   矢野浩明 ,   帖佐悦男

ページ範囲:P.783 - P.785

診断のポイント

 診断のポイントとして,問診による詳細な病歴,スポーツ歴や自覚症状(受傷機転,圧痛点)および運動時の痛みの出現状況の聴取は重要である.

 次いで,画像検査として単純X線および必要に応じてストレス撮影X線,CTなどで順次診断を進める.

医者も知りたい【医者のはなし】・58

順天堂第二代堂主・佐藤尚中(1827~1882) 東京順天堂を創設した医者

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.786 - P.790

 順天堂第二代堂主である佐藤尚中(図1)は,下総国(現千葉県)佐倉に順天堂を開いた佐藤泰然の養子であり,明治2年(1869)に新政府から医学校取調御用掛に任じられた佐賀藩の相良知安と福井藩医の岩佐純たちにより,大博士の称号で東京大学の前身である大学東校校長として迎えられた.その折に名前を「佐藤尚中」と名乗るようになった.尚中は明治6年(1873)に大学を辞して佐倉から東京下谷練塀町(現秋葉原)に順天堂を開き,明治8年(1875)に湯島に順天堂医院を開設した.連載第49回に順天堂初代堂主の佐藤泰然と第51回に第三代堂主佐藤進をすでに書いているので,第二代目を書くと初代から第三代目までが完成する.筆者は東京谷中墓地にある尚中の記念碑とお墓を数年前に訪れたことがあった.平成25年のゴールデン・ウィークを利用して,千葉県香取市のJR小見川駅で降り,内浜公園(図2)として保存されている尚中の生誕地を訪れた.その中に尚中生誕地を顕彰した大きな碑がある(図3).

特別講義 整形外科の歴史・4

「先天性」股関節脱臼の治療史―CDHからDDHへ

著者: 小野啓郎

ページ範囲:P.792 - P.795

CDHの新生児検診:「dislocated」hipに対する「dislocatable」hip

 整形外科医が新生児を診察する機会は,筋性斜頚や先天性内反足を除けば稀であった.一方,小児科医はこうした変形・奇形を目にしなければ他科へ紹介することもなかった.医学の各専門分野は連携のないままで(互いに隔絶した状態のままで)20世紀も終わろうとしていた.脱臼した股関節は整形外科の病気(障害)であるが,dislocatable hipという診断名(?)が下されれば,それは小児科の病気であるという考え方である.

 股関節脱臼の早期診断・早期治療を目指して,たとえば整形外科と小児科といった専門横断的グループ検診が軌道に乗るのは,日本では20世紀の末であった.

臨床経験

軟骨無形成症に伴う脊柱管狭窄症に対する手術成績―6例報告

著者: 村田洋一 ,   長本行隆 ,   柏井将文 ,   藤森孝人 ,   飛松秀和 ,   青野博之 ,   岩﨑幹季

ページ範囲:P.799 - P.803

 軟骨無形成症に伴う脊柱管狭窄症に対し椎弓切除術を行った6例を報告する.初回手術時平均年齢27歳,術後平均観察期間62カ月,胸腰椎後弯角は術前平均21°であった.全例に椎弓切除を行い,2例に固定術併用,1例に再手術を要した.最終観察時の胸腰椎後弯角は平均25°であった.日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)は術前4.4点から最終7.0点であった.6例中4例で成人以降の定期診察がなされておらず,うち2例で治療開始遅延が原因と思われる成績不良を認めた.本症に伴う脊柱管狭窄症は成人以降の発症が一般的であり,患者への啓蒙や定期診察により至適な手術時期を逃さないことが重要である.

セメントレス人工膝関節置換術におけるトラネキサム酸投与の効果

著者: 宮城仁 ,   玉井浩 ,   板寺英一 ,   西口薫 ,   廣瀬彰

ページ範囲:P.805 - P.808

 背景:セメントレス人工膝関節置換術(以下,TKA)では,術後の出血対策は必要不可欠である.

 対象と方法:今回,初回TKA32症例を対象とし,ドレーンクランプ法(以下,DC法)とトラネキサム酸(以下,TA)の関節内投与あるいは静脈内投与の併用による出血抑制効果を検討した.

 結果:TA1g,2gの関節内投群および1gの静脈内投与群で出血抑制効果が認められたが,関節内投与群でより出血量が少なかった.また,TA1gと2gの関節内投与群間では出血抑制効果に差はなかった.

 まとめ:TKA術後の出血対策としてDC法とTA1gの関節内投与の併用は有効な方法である.

症例報告

診断治療に股関節鏡が有用であった滑膜骨軟骨腫症の2例

著者: 菅野真彦 ,   宮坂健 ,   原田義忠

ページ範囲:P.809 - P.812

 症例は46歳女性と61歳女性で,両症例とも片側の股関節痛を主訴に受診した.画像検査で滑膜骨軟骨腫症と診断し,当院で手術を施行した.1例目では股関節鏡視下で摘出困難であったため前側方侵入で摘出した.2例目では鏡視下で摘出しえた.股関節鏡は本疾患の診断,治療に有用であった.摘出困難な場合でも,腫瘍の大きさ,局在を鏡視下に同定することにより,小侵襲の進入法で摘出が可能であり,股関節鏡選択のメリットは大きいと考える.

脛骨内側顆に関節破壊を伴う化膿性膝関節炎に対し,部分セメントスペーサーで感染を鎮静化させた後,人工膝関節に置換した1例

著者: 瓜生拓也 ,   樋口富士男 ,   吉川英一郎 ,   光井康博 ,   久米慎一郎 ,   後藤昌史 ,   大川孝浩

ページ範囲:P.813 - P.817

 関節注射後に発生した関節破壊を伴う化膿性膝関節炎に対して,抗生剤入り部分的セメントスペーサーを充塡し,二期的に人工膝関節置換術を行った症例を経験したので報告する.症例は69歳の女性で,他院でヒアルロン酸の関節内注入を受けた後,化膿性膝関節炎を発症した.単純X線写真で脛骨内側顆の透遼像を認め,肉眼的にも同部の破壊がみられた.洗浄・病巣掻爬を行い,欠損部には抗生剤入りのセメントを注入した.感染の鎮静化が得られた後,二期的に人工膝関節置換術を行い,感染の鎮静化後1年6カ月の現在,経過良好である.

脊髄空洞症患者に生じた尺骨偽関節の1例

著者: 坂井勇介 ,   上杉和弘 ,   藤島弘顕 ,   津田隆之 ,   村瀬剛

ページ範囲:P.819 - P.823

 痛覚障害患者は外傷の自覚がなく治療が遅れることが示唆されている.われわれは,脊髄空洞症患者に生じた尺骨偽関節の1例を報告する.症例は39歳の女性で,転倒して手をついた際に轢音を自覚したが,疼痛なく放置していた.1カ月後に尺骨骨幹部骨折と診断され,この骨折を契機に脊髄空洞症であることが判明した.保存的治療を行ったが偽関節となり,橈骨頭亜脱臼を併発したため,受傷後3年で尺骨偽関節手術(腸骨骨移植)を施行した.痛覚障害患者においては痛みがないために診断や治療が不確実になりやすく,この症例においても早期に手術治療を検討すべきであった.

胸椎硬膜外に発生した砂時計型血管芽腫の1例

著者: 大久保寿樹 ,   石井賢 ,   岩波明生 ,   三上修治 ,   向井万起男 ,   中村雅也 ,   戸山芳昭 ,   松本守雄

ページ範囲:P.825 - P.829

 患者は68歳の女性で,第9胸椎高位の傍脊椎から脊柱管内を占拠する砂時計型腫瘍に対し,腫瘍全摘ならびに胸膜形成と脊椎後方固定術を施行した.術前に認められた両下肢の運動障害および知覚鈍麻は術直後から改善を認め,退院時には独歩可能となった.砂時計型硬膜外血管芽腫は極めて稀で,われわれが渉猟し得た範囲では胸椎発生高位の報告例は過去にない.砂時計型傍脊椎腫瘍では血管芽腫も念頭に置く必要がある.

橈骨神経断裂を伴った小児上腕骨顆上骨折の1例

著者: 山田俊之 ,   六角智之

ページ範囲:P.831 - P.834

 症例は6歳の男児で自宅のソファから転落し,受傷した.前医で橈骨神経麻痺を伴うGartland type Ⅲの上腕骨顆上骨折と診断された.翌日,神経麻痺の改善がみられず,当科に紹介された.観血的整復を行ったところ,橈骨神経の完全断裂を認めた.ワイヤー固定後,橈骨神経は端々縫合を施行した.術後6カ月の時点で骨癒合は良好で,肘関節の可動域制限はない.手関節背屈徒手筋力テスト4と橈骨神経麻痺は回復傾向である.小児上腕骨顆上骨折で転位が大きく,神経の完全麻痺を認める場合は神経断裂の可能性を念頭に置くべきである.

粉砕のある外側型Hoffa骨折に対し,脛骨粗面骨切りを併用して骨接合術を施行した1例

著者: 樋口貴史 ,   尾島朋宏 ,   勝尾信一 ,   砂山千明 ,   水野勝則 ,   山門浩太郎 ,   岡山忠樹 ,   木谷聡 ,   林正岳

ページ範囲:P.835 - P.839

 Hoffa骨折は比較的稀な関節内骨折であり,解剖学的な整復と安定した内固定が必須である.症例は65歳の男性で左大腿骨外側後顆に第3骨片を有する粉砕骨折を認め,骨片は大きく近位後方へ転位し,展開や整復固定に難渋することが予想された.今回,外側傍膝蓋アプローチに脛骨粗面骨切りを併用することで,半月板や靱帯を温存したまま,広い術野が確保でき,良好な整復,内固定が得られた.その結果,術後早期に関節可動域訓練を開始でき,術後4カ月で膝関節痛の訴えなく,膝屈曲可動域150°と良好な膝関節機能を得ることができた.

書評

『脊椎外科書』 フリーアクセス

著者: 持田讓治

ページ範囲:P.797 - P.797

 岐阜大学の清水克時先生による『脊椎外科書』が上梓された.ご承知の方も多いと思うが,随筆なども刊行されている清水先生の文体は大変スマートであり,拝見するのを楽しみにしていたところ,書評のご依頼を頂いた.大変に光栄であり,有り難くお引き受けした.

 脊椎脊髄外科の教科書,手術書は国内外で多数刊行されているが,単著での企画は清水先生のご指摘のように,国内では大谷清先生の手術書以降ごく少数である.監修者,編者が企画する専門家分担執筆では,現在の最先端の知見が網羅され,コンセンサスが得られた内容でまとめられており,教科書としての役割は極めて大きい.一方,その内容・構成や書き方も編者から細かく指示されることが多い.このため,脊椎脊髄外科を学び始めた医師には格好の勉強の素材となるが,ベテランの医師からは『面白味が少ない,どの本を読んでも似ている』というご意見もしばしば聞く.

『関節のMRI 第2版』 フリーアクセス

著者: 大塚隆信

ページ範囲:P.834 - P.834

 骨関節のMRIはレントゲン撮影についで日常的に行われる検査で,現在では総合病院から一般開業医まで広く普及している.MRIの読影能力が関節に関わる臨床医の能力に比例しているといっても過言でない.さらに,撮影方法や解像度は日々飛躍的に改良されており,得られる情報量も過去のMRIとは雲泥の差である.このような診断機器の発展に,臨床医は踊らされるのではなく,巧みに操り利用していく必要がある.

 6年前の2007年という比較的最近出版された「関節のMRI」であるが,3T・MRIの普及,フィルムレス導入,新たな病態への対応など,すでに大幅に改訂が必要と判断されたため,今回第2版の発行となった.その変化は,ページ数が568頁から934頁と大幅に増加したことからもわかるように,「最新のMRIに対応する必要十分な書籍」といえる充実ぶりである.具体的に使用されている画像は可能な限り3Tの良質なものになっており,仙腸関節や胸鎖関節などの比較的遭遇する部位も追加となっている.脊椎疾患もさらに充実されており,また,各関節では滑液包炎や術後変化など,頻度は多いがこれまであまり解説されていなかった項目も増えており,まさにかゆいところに手が届く出来となっている.

INFORMATION

第3回関東地区小児整形外科ベーシックコース講習会 フリーアクセス

ページ範囲:P.777 - P.777

会期:平成25年(2013年)9月7日(土) 13:00-17:30

会場:大正製薬株式会社 本社1号館9階ホール

東京都豊島区高田3-24-1

第40回関東膝を語る会 フリーアクセス

ページ範囲:P.803 - P.803

日時:2013年(平成25年)11月16日(土) 13:00~18:00

会場:大日本住友製薬(株) 東京支社10階ホール(東京都中央区京橋1-13-1)

第40回日本肩関節学会 フリーアクセス

ページ範囲:P.808 - P.808

日時:2013年9月27日(金),28日(土)

会場:ウェスティン都ホテル京都

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P. - P.

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.841 - P.841

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.842 - P.842

文献の書き方 フリーアクセス

ページ範囲:P.843 - P.843

あとがき フリーアクセス

著者: 土屋弘行

ページ範囲:P.844 - P.844

 皆さん,鬱陶しい梅雨をいかがお過ごしでしょうか.今年の梅雨は,九州地方南部の雨が多いようですが,他の地域ではまだそれほどではないようです.私の住む北陸地方は,例年全国でも最後のほうに梅雨が明けます.7月中旬から下旬の大雨に注意しています.本号が発売される頃は,活力みなぎる夏本番が到来していることでしょう.私個人としましては,夏はいつもopen-mindになれて大変いい時期で,名案も閃きやすいように思います.

 加齢黄斑変性症に対するiPS細胞の臨床試験が,いよいよ認可されることになりました.まずは安全性試験ということですが,多くの方の期待を背負っている状況は大変だと思います.臨床における安全性と有効性を確認していくために,超えないといけないハードルは多々あると思いますが,正しい道筋をたどっていくことを切に願う次第です.いずれは整形外科領域でもと,だれでも考えますが,まずは治療法のない難病や生命の危機に関わる疾患が治療対象となっていくでしょう.骨や軟骨,筋肉の再生はかなり後になる予感がします.厚生労働省をはじめとする政府関連機関へのお願いは,iPS細胞一辺倒ではなく,日本には他にも控えている素晴らしい研究が多々ありますので,それらへの支援も忘れないで行ってほしいと思います.医学研究は,multidirectionalです.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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