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あとがき
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著者:
戸山芳昭
所属機関:
ページ範囲:P.1048 - P.1048
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わが国は現在,政治・経済そして医療も大きな変革期にあるようです.超少子高齢化が進み,資源の少ない日本が世界と戦っていくためには,教育力,科学力を高め,国際化を進める以外ないようです.まず教育では,学校教育法(93条)が見直され,次年度より大学では「学長権限の強化」「教授会の権限を抑え,審議機関〈教育と研究を対象〉に位置付け,学長に意見を述べる程度に止める」「学長の選考基準策定(国立)」「運営・経営面への外部者の関与強化(国立)」などが法令下で進められそうです.このように,大学には学長主導による自らの大きな変革が求められています.政府は国際競争力を高めるため,既に多くの成長戦略を打ち出してきました.教育力,研究力を高めるために「世界のトップレベル研究拠点プログラム(WPI):9拠点」「研究大学強化促進事業(RU):22拠点」「革新的イノベーション創出プログラム(COI):12拠点」などが企画され,さらに世界大学ランキング・トップ100以内を目指すために「スーパーグローバル大学」に37大学が選出されました.また,医療の国際展開,競争力を高めるために「MEJ(Medical Excellence JAPAN)」設置や最新の医療技術・医薬品を迅速に実用化させるために「橋渡し研究加速ネットワークプログラム:9拠点」や「臨床治験中核病院:15拠点を予定」なども選定され動き出します.そして,いよいよ平成29(2017)年度から新たな専門医制度が開始され,そこには総合診療医も組み込まれる見込みです.また近年,研究不正が大きな問題となった医学界では,研究活動に対して行政主導での対策が示されるはずです.たとえば,研究結果・資料(研究ノート等)や使用したサンプルの長期保管や管理責任体制も強く求められるでしょう.医学・医療者はすべての施策に対応して今後の研究活動や臨床を展開していく必要がありそうです.加えて,文部科学省や厚生労働省の研究事業,研究費の枠組みも変更されました.これらの施策により,日本の医学・医療がどこまで国際競争力,研究力を高められたか,10年後,20年後にしっかり検証し,総括する必要があるでしょう.よい方向に進むことを願っています.